【うつ病】うつ病で頭が回らない時どうしたらいい?【精神科医が9.5分で説明】抑うつ状態|うつ|精神科
0:00 (1)はじめに
0:16 (2)うつ病と主な症状
0:48 (3)うつ病での「頭が回らない」症状とその影響
2:30 (4)うつ病で頭が回らない時どうしたらいい?
2:54 ①うつ病治療
4:25 ②日々のリハビリ
6:30 ③現実的な環境調整
8:36 (5)まとめ
うつ病で頭が回らない時どうしたらいいでしょうか?うつ病では落ち込みの他、思考力の低下などの「頭が回らない(脳機能低下)」症状が生活に影響します。この症状は回復が非常に遅いため、できる治療やリハビリはしつつも、「本調子でない」中何とかする現実的な環境調整も大事です。
ご質問「うつ病で頭が回らない時どうしたらいい?」について、精神科医が9.5分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
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(1)はじめに
今回取り上げるのは「うつ病で頭が回らない時どうしたらいい?」というご質問です。結論から言うと、「改善するが時間差になりやすい。現実的な環境調整も大事」ということになります。うつ病の症状の中でも「頭が回らない」という脳機能の低下は、他の症状と比べて回復に時間がかかることが多く、治療だけでなく日常的なリハビリや環境調整が非常に重要になってきます。
(2)うつ病と主な症状
うつ病とは、落ち込みなどのうつ症状が続く脳の不調です。主に脳内物質セロトニンの不足が背景とされています。落ち込み以外にも、実際には様々な症状が現れることがあります。
うつ病の主な症状は大きく3つに分けられます。
まず「こころの症状」として、落ち込みや罪悪感に加えて、思考力などの脳機能の低下が現れることがあります。
次に「からだの症状」として、不眠や疲れやすさのほか、吐き気などの自律神経症状が出ることがあります。
そして「行動の変化」として、人を避けたりイライラしやすくなるなど、外から見て目立ちやすい変化が起こります。
この中で「頭が回らない」という状態は、うつ病の主要な症状の一つなのです。
(3)うつ病での「頭が回らない」症状とその影響
うつ病では落ち込みのほか、思考力などの「脳機能の低下」をしばしば合併します。これは一見うつ病の症状とは認識されにくく、「認知症の症状かもしれない」など不安になる場合も少なくありません。一見目立ちにくい症状ですが、生活全般への影響は決して小さくないのが特徴です。
うつ病での脳機能の低下には、具体的に以下のような症状が見られます。
「思考力や段取り力の低下」では、何かを考えて計画して段取りを組むことが難しくなります。その結果、仕事や日常生活に強い影響が出ることがあります。
「注意力や記憶力の低下」では、物事への注意がすぐそれてしまい、かつ忘れやすくなります。その結果、大きなミスをしたり、約束を忘れたり、忘れ物をするなど、実害が多く出てくることがあります。
「判断力や集中力の低下」では、物事を実行したり選んだりすることが難しくなり、仕事に差し障りが出るほか、重症化すると日常のさまざまなこともやりづらくなる場合があります。
これらの症状は日常生活に様々な影響を及ぼします。
「仕事の困難」として、仕事の先送りやミスが多発するようになり、時に自分だけでなくプロジェクト全体にも影響が出ることがあります。
「対人交流の困難」として、話を聞くことも伝えることも脳機能の関係上難しくなり、孤立やトラブルに至りやすくなります。
「日常生活の困難」として、片付けや入浴など日常的に必要な行動もやりづらくなり、生活全般が困難になることがあります。
(4)うつ病で頭が回らない時どうしたらいい?
「うつ病で頭が回らない時、どうしたらいいのか」という問いに対する答えは、「改善には時間がかかる。対策をしつつも環境調整を」ということになります。
うつ病の「頭が回らない」症状への対策は大きく分けて3つあります。「うつ病治療」「日々のリハビリ」そして「現実的な環境調整」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①うつ病治療
「頭が回らない」という脳機能の不調もうつ病の症状の一つですので、うつ病の治療で改善が見込めます。特に急性期であれば、抗うつ薬を使いながら休養に専念して徐々に改善を図ります。ただし、他の症状と比べると治療のみでは限界があるのがこの脳機能の低下であることに注意が必要です。
うつ病の主な治療には次のようなものがあります。
「休養」では、ストレスから離れて頭をしっかり休ませます。働いている方は休職をすることになります。
「薬物療法」では、うつ病には主に抗うつ薬、その中でもSSRIという種類の薬を継続的に服用します。必要に応じて睡眠薬や抗不安薬などの補助薬を併用します。
「精神療法」では、主にストレスへの対処法の見直しを行います。時に福祉サービスの活用を含む場合もあります。
しかし、「頭が回らない」症状にはうつ病治療だけでは限界があることも認識しておく必要があります。
まず「休養だけでは改善しない」という点があります。状態の安定はその後のリハビリの必要条件ですが、休養だけでは脳機能は完全には戻らないため、その後のリハビリが必要になります。
また「改善が遅い」という特徴もあります。他の症状と比べても非常に改善が遅く、復職など社会復帰をしても、その段階ではまだ完全に回復していないことも多いです。
さらに「慢性的に残る場合も」あります。特に治療までの不調の期間(未治療期間)が非常に長い場合は、脳機能の不調が慢性化するリスクが否定できません。
②日々のリハビリ
「脳機能の低下」、つまり頭が回らないことに関しては、休養のみでは改善せず、状態が安定した後に日々リハビリを行うことが大事になります。動くことの負担感は大きいですが、無理のない範囲で、しかし日々継続して続けていくことで徐々に改善を図ります。
ただし、効果が出るまでには非常に時間差があります。すぐに効果を実感できないことには注意が必要です。そのため「改善する」以外の日々の動機づけが現実的には大事になります。
リハビリを実践する上でのコツもあります。
まず「病状安定後に行う」ことが大切です。急性期など不安定な時期に始めてしまうと、その刺激によって逆に病状が悪化する原因になるため、あくまで安定後に行うよう注意が必要です。
「焦らず徐々に行う」ことも重要です。一気に行うと翌日以降に反動が出た時に逆効果になります。無理のない負荷でやって、かつやった後はしっかり休養をとり、回復したらまた負荷をかける。このようなサイクルを無理なく継続することが大切です。
「日々の動機づけ」も忘れてはなりません。改善は非常に時間差があり、やってすぐに効果を実感できません。そのため「日々やりきったことを認める」など、改善という結果「以外」の動機づけを持つことが続けるためには大事になります。
リハビリには注意点と限界もあります。
「効果がすぐに出ない」ということは常に念頭に置く必要があります。日々積み重ねることで徐々に、しかし非常に時間差をもって改善することを理解しておくことが重要です。
「負担感と達成感のミスマッチ」も大きな課題です。リハビリは非常に大変で、動くことは労力を要しますが、一方で効果が実感しにくいと中断してしまうリスクが高まります。このリスクを念頭に置き、動機づけの対策をとることが必要です。
「周りの理解の限界」も考慮すべき点です。体の障害などと比べても、頭が回らないという困難は周りからは理解されにくいことがあります。「他者からの承認」に頼ってしまうと危険な場合もあるため、自分自身での評価軸を持つことも大切です。
③現実的な環境調整
治療とリハビリは大事ですが、それでも脳機能の改善、つまり頭が回らない症状の改善は最も時間がかかり、かなりの時間差があります。復職後などにもまだ完全には改善していないことも多く、現実的には「改善していないという前提での環境調整」が必要です。
その中で時間とともに頭が回るようになってきたら、徐々に以前の生活様式に戻していきます。
現実的な環境調整の前提として、いくつか認識しておくべき点があります。
まず「本調子でないことは続く」ということです。脳機能も時間差で改善はしますが、それは1年後など、予想以上に長期間かかることもあります。まずは現在の状態での対策を講じる必要があります。
また「周りの配慮には限界がある」ということも念頭に置くべきです。特に復職後などは、周囲の配慮があっても一定水準の負荷がかかることは避けられません。
「無理をすると再発のリスク」もあります。動きづらい中で以前と同じ負荷を無理にこなそうとすると非常に大きなストレスがかかります。その結果、再発につながってしまうことがあるので、無理はしないことが大事です。
現実的な環境調整の方法としては以下のようなものがあります。
「やることを絞る」ことで、脳の負担を減らします。動ける範囲には限界がありますので、全てをこなそうとするのではなく、優先順位の高いものに絞っていきます。その結果、精神的な安定と実務の遂行を両立させることができます。
「工数を減らす」ことも有効です。完全主義を避け、支障がない範囲で同じ作業でも負担を減らしていきます。100点を目指すのではなく、70点程度でも良しとして、やるべきことの量を減らすことで負担感を軽減します。
「人間関係を絞る」ことも大切です。人間関係のストレスによる消耗は調整が難しいものです。分析した結果、消耗を強いられるような人間関係は避け、無理なく持続可能な人間関係を大切にしていくのが現実的です。
(5)まとめ
うつ病では落ち込みのほかに、思考力の低下などの脳機能の低下、いわゆる「頭が回らない」症状がしばしば続き、仕事や生活に幅広く影響を及ぼします。
対策の基本はうつ病治療ですが、休養だけでは脳機能は完全には回復しません。状態が安定した後に徐々に心身を動かすリハビリを継続することが重要です。
しかし、リハビリをしても脳機能の回復にはかなり時間がかかるため、それまでは不調があることを前提に「やることを絞る」などの現実的な環境調整を並行して行うことが必要です。
この3つの対策を適切に組み合わせることで、うつ病による「頭が回らない」症状と上手に付き合いながら、徐々に回復への道を進んでいくことができるでしょう。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
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【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。
12件のコメント
働きなさいよ!!
発達障害から来る鬱状態です
鬱病なのか適応障害なのかよくわかりません、実家や入院しても治りそうにないです
ありがとうございます。
まさにそれで長く困っています。
リハビリのやり方はどうしたらよいのでしょうか?別の動画等で分かるのでしたら教えていただきたいです。
春日先生の様々な動画を拝見しています。先生の動画の話だと鬱病はマイナス面だけしかないように感じました。私はADHDですが、鬱病と同じような困り事が出ています。ただ、対人交流の困難さはあまりありません。鬱病の方の中には、周りが見えない、理解できない方も多いように思います。この動画にあるリハビリの方法を自分も取り入れたいと思います。鬱病の方は健常者だけでなく、発達障害当事者からも理解され難いところがあると思います。
春日先生の解説は本当に的確で時間の長さも丁度良く信頼しています。
別居している未婚の娘が鬱病になり通院していると言って来ました。母親としてはとても心配です。娘は私との交流を望んでいないことを知りました。私が訪ねて行き、ドアノブに好きな品物をぶら下げて帰るだけで、その日は悪夢を見てうなされるそうです。全く訳が分かりません。娘の主治医に訊きたいと思い電話をかけましたが、例え親御さんであっても、患者が成人に達していると情報提供できませんと言われました。既に四年近く経過しています。その言葉を守っています。どうしたら良いでしょうか。
外でお散歩とかランニングがいいね
リフレッシュできる 毎日早朝が
いいですね
今大学生なんですけど、鬱のせいなのか講義の内容が頭に入らなくて課題も全くできなくてしんどいです、、、
でも今年単位取れなかったら留年が確定してしまうんです
助けてください😢
もう少しゆっくりお話ししていただけると助かります。😊
先生 いつもわかりやすい動画、ありがとうございます。
頭が回らない→未治療期間が長い場合とありましたが、どれくらいの期間が長いと考えたらよいでしょうか?
上司が精神科看護師なのに部下(私)への荷重が多くなり抑うつになってしまいました。自身も看護師です。何をどうしていいのか全くわかりません。メンタルクリニックに行くのすらすごく腰が重いです。習った覚えもあるのですが自分に降りかかったり部下に降りかかったりするとダメらしいですね。
双極性障害のうつ状態ですが、とても参考になりました。
やれることをやれる範囲で、やっています。
頭が回らない場合に、こんなに難しい内容が理解出来るだろうか?