“衣の中に愛情いっぱい” とんかつ竹亭“ヒゲのマスター” 味は永遠に 鹿児島・鹿屋市 (24/10/04 18:45)
鹿児島県鹿屋市で54年前にとんかつ専門店「竹亭」をオープンさせ、先日亡くなった名物店主を紹介します。
仏壇に飾られる遺影。
男性はヒゲがトレードマークでした。
9月6日に間質性肺炎のため81歳で亡くなった久保功さん。
実は久保さん、鹿屋市民なら誰もが知っていると言っても過言ではない、有名人なんです。
街で聞いてみるとー
Q鹿屋支局・吉留李奈記者
「(久保さんの写真を見せて)この男性ご存じですか?」
鹿屋市民
「竹亭さんの店主さん。行くと『いらっしゃい!』と元気よく迎えてくれたイメージがある」
「鹿屋のとんかつを広めた方だなぁと思っています」
「竹亭のオーナーですよね。みんな、胃袋が満たされたと思います」
そう、久保さんは、とんかつ専門店「竹亭」の創業者。
今から54年前の1970年に鹿屋市にオープンしました。
当時、とんかつ専門店は珍しい存在だったそうです。
30年前に久保さんを取材したニュース映像が残されています。
店名の由来についてこう話していました。
竹亭の創業者・久保功さん(30年前のニュース映像より)
「小さい頃から竹に興味を持っていて、和風の料理に竹が合うのではないか、竹はすくすく伸びて節目節目があって、人生の生きがいになるんじゃないかと感じて、とんかつの竹亭という名前を付けた」
久保さんは店をオープンさせるにあたり、東京のとんかつ専門店に頭を下げ、洗い場からスタートして、とんかつ作りを学んだそうです。
そんな竹亭のとんかつは、温度の違う2種類の油で揚げるのがポイント。
添えるキャベツは、まるでかき氷の様に山盛りで、野菜の価格が高騰しても、量を変えることはありませんでした。
また、甘めのとんかつソースも創業以来、変わらないものの一つで、キャベツとの相性も抜群です。
定番のロースカツに、しっとりとやわらかいヒレカツ。
ジューシーなお肉にタマネギの甘みが加わった絶品のメンチカツなど、とんかつ専門店ならではのメニューが並びます。
そんなお店は連日のように行列ができ、今では鹿児島市と霧島市にも店を構える名店になりました。
一方で、人を楽しませることが好きだった久保さん。
1999年に地域振興券が配布された時には「65歳以上は2万円で一生とんかつ食べ放題」という企画を実施。
25年たった今も高齢になったお客さんが家族に連れてきてもらい、とんかつを食べにやってくるといいます。
そんな久保さんには、鹿屋市の産業と経済の発展に貢献したとして、市民表彰が贈られました。
現在、鹿屋市の本店は改装工事が進んでいて、リナシティかのやの仮店舗で営業しています。
久保さんが残した老舗の味は、この日も多くのお客さんを笑顔にしていました。
お客さん
「とにかくとんかつがおいしいし、キャベツが大盛りで。でもペロッといけちゃう」
「出張で東京から来ました。すごくおいしかったです。(衣は)サクサクで中はやわらかい」
「おいしかった。月に3回ぐらい(来店する)」
「(久保さんは)ご苦労様です。五十何年されてね。鹿屋のとんかつを広めた方だなあ」
跡を継ぐ息子、竹弘さんは、「父が残した地元に愛される店を変わらずに守っていきたい」と話しています。
30年前、久保さんは自慢のとんかつについて、こんなことを話していました。
竹亭の創業者・久保功さん(30年前のニュース映像より)
「カツを作る過程で衣が肉のうまみを、いかにして逃がさないようにするか研究した。衣の中には愛情がいっぱい入っているところがうちの特徴です」
“畜産県鹿児島を盛り上げたい”と、とんかつを選んだ久保さんは、多くの人の心と胃袋をつかみ、静かに81年の生涯を閉じました。
鹿児島県内のとんかつ店の先駆けとして地域を盛り上げ続けてくれた久保さん。
トレードマークのヒゲは自分の結婚式の時と、昭和天皇が崩御された時の2回しかそったことがないというエピソードも取材でお聞きしました。改めてお悔やみを申しあげます。