【ゆっくり怖い話】師匠シリーズ『田舎 書籍版』

[音楽] 師匠シリーズ田舎書籍版ゆっくりしていっ て ね第1章田舎への 招待大学1回正の秋その頃うちの大学には 試験休みというものがあって夏休みの後に 前期試験がありその後に試験休みが来ると いうなんとも中途半端なカリキュラムと なっていた夏休みは我ながら過ぎと思う ほど遊びまくり実家への規制もごく短い間 だったそこへ降って湧いた試験休みなる 微妙な長さの休暇俺はこの休みを母方の 田舎への規制に使おうと考えた高校1年の 時に祖母がなくなってその時には足を運ん だがまともに投入するとなると中学生以来 か母の兄である叔父も1度顔を出しなさい と言っていたのでちょうどいいその計画を 試験シーズンの始まった頃にサークルの 先輩になんとなく話し たすごい田舎ですよとその田舎っぷりを 語っていたのであるがふと思い出して小学 生の頃にそこで体験した犬の幽霊の話をし た夜中に赤ん坊の胴体を加えた犬が家の前 を走りその赤ん坊の首が笑いながら後を 追いかけていくというなんとも夢ともうつ ともつかない奇妙な体験だった先輩はふん とあまり興味なさそうに聞いていたが俺が その田舎の村の名前を出した途端に身を 乗り出した今なんてっため食らって復唱 すると先輩は目をギラギラさせて連れ てけという俺が師匠と呼びオカルトの色葉 を教わっているその人の金銭に触れもが あったようだ叔父の家は大きいので1人 2人増えても大丈夫だったし大らかな土地 柄なので友人を連れていくくらいなんでも ないことだっ たいいですけど結局師匠を伴って規制する こととなったのだが話はそれだけでは 終わらなかった試験期間中にも関わらず俺 は地元のオカルト計ネット仲間が集まる オフ会に参加していたそんな時期に試験が あるなんてうちの大学くらいなわけで フリーターや社会人が多いその会はお構い なしに開かれたそれなら参加しなければ いいだけの話のはずだがオカルトに関する ことに触れている時間が何より楽しかった その頃の俺は当たり前のようにファミレス に足を運んだその後の2年間の有年の景気 がもう始まっていたと 言える試験休みに入ったら博の田舎に行く んですよそこでも少年時代の奇妙な体験を 披露したしかし子供の頃の話という フィルターのためかオカルトマニアドの 高い方々のハートにはあまり響かなかった ようだやがてその頃ほッだった心霊

スポットである100等団地への突撃計画 へ話が映っていったところがそれをしりめ にある先輩がつつっと俺の隣へやってきて お前の田舎は四国だよなというオフでも 京介というネット上のハンドルネームで 呼ばれる人ではっとするほど整った顔立ち の女性だった俺はこの人に話しかけられる といつもドキドキして しまうそうですと答えると真面目な顔をし て四国には犬にまつわる階段が多いと言っ たそして お前の故郷は犬神の本場だと俺の肩を バンバンと叩くのだっ た犬神って何ですかという俺の問いに荒野 の白ばまだと 笑い犬を使って人の老術だよと耳元で囁い た百刀団地突撃団の怪奇炎が想像しかった ためだが耳に息がかかってそれがどう しようもなく俺を続々させた 田舎はどんなところだと聞くので先日師匠 にしたような話をしたそして村の名前を口 にした瞬間にまるで先日師匠の再現のよう に身を起こして本当かというのであるこれ には俺の方が狐につままれたような気持ち で誘うというより半ば疑問系に一緒に行き ますかと言った京介さんは綺麗な眉毛を 曲げうんと唸った後バイトがあるからなと こぼしたこらお前らも行くんだぞ100等 団地他のメンバーから本日のメインテーマ を振られその話はそこでうやむやになって しまったけれど俺は見逃さなかったの だバイトがあるからと言った京介さんが その後突撃団の輪を向けて小さな スケジュールとを何度も確認しているのを 京介さんは多分生きたがっているバイトが あるのも本当だろうが半ば弟分とはいえ男 である俺と2人で旅行というのにも抵抗が あるのだろういや案外そんなことお構い なしにいいよとあっさり承知するような人 かもしれ ない一緒に行きますかなどとさらりと言え てしまったのもそういうイメージがあった からだ ともかくあと一押しだという感触はあった 一瞬2人で行けたらなという楽しげな妄想 が浮かんだが師匠も来るのだということを 思い出し残念な気持ちになった急に死な ないかなあの人しかし師匠と京介さんと いうコンビの面白さは実感していたので これは何としても2人セットでこさせたい ところがこの2人水と油のように仲が悪い そこで一系を暗示たオフ会が終わった後3 回していく人の中からここさんというその 集まりの中心人物を捕まえた彼女も俺と 同じ大学だったが試験などよりこちらの方

が大事なのだろうそして彼女は師匠の恋人 であり京介さんとも親しい中であるという まさに味方に引き入れなければならない人 だったここさんはあっさりと俺の計画に 乗ってくれたむしろのりのりでああして こうしてという指示まで俺に飛ばし始めた 簡単に言うと師匠には師匠俺ここさんの3 人旅行だと思わせ京介さんには京介さん俺 ここさんの3人旅だと思わせるのだ当然 バレルが現地についてしまえばなし崩し的 にどうとでもなるつまりいつもの俺の手口 なのだった 翌日ここさんから京介OKとのメールが来 た同じ日 になんか一緒に期たいって言ってるけど いいかとここさんの同行を少し申し訳なさ そうに師匠が尋ねてきたもちろん気持ち よく了承するこれで里帰りの準備が整った そして試験の出来はやはりひどいものだっ た俺とと師匠は南風という特急電車で南へ 向かっていた雨を食べながら俺は師匠に なぜ俺の田舎に興味があるのかという最大 の疑問をぶつけていた京介さんとここさん は1本後の南風で来るはずだ師匠にはここ さんに用事があり少し遅れてくることに なっており京介さんに対しては俺は1日 早く寄生して待っていることになっていた う と言った後もう種明かしをするのは もったいないなという表情で師匠は俺の 田舎に伝わる民間信仰の名前をあげたなん だそんな表紙抜けするような感じがした イザナ竜は子供の頃から普通に聞く名前 だった別段特別なものという印象はない 具体的にどんなものかと言われると説明に 困るがまあ困ったことがあったら多さんを 呼んで拝んでもらうというようなイメージ だそれは田舎での生活の中に溶け込んで 存在していたもので怪しげなものでもない 最も1度か2度小さい時に何かの儀式を見 た記憶があるだけでどういうものかは実際 はよくわからないどうして師匠がそんな マイナーな地元の信仰を知っているの だろうとふと疑問に思った京介さんも やっぱりそれに対して反応したのだろう かそれ何ですかホズをついて窓の外に 広がる海を見ていた師匠の首筋に紐のよう なものが見えたあ くせこっちを見もせずにそういったものの 師匠がアクセサリーの類いをつつける ところを見たことがない俺は首をひねった 俺の視線を感じたのか胸元に手を当て師匠 はかかに笑った その瞬間何とも言えない嫌な予感に襲われ たガタンガタンと電車が線路の連結部で

跳ねる音が大きくなった気がして俺は理由 もなく車内を見回したいくつかの駅で 止まった後電車はとりあえずの目的地に つい たひどい駅と開校1番師匠は我が古里の駅 を馬鹿にした駅周辺にある足の木を指さし てゲラゲラ笑う師匠を連れて街を歩く遅れ てくるここさんを待つ間昼飯を腹に入れる ためだ途中ボーリング場の前にある電神柱 に立ち寄った地元では通の間で有名な心霊 スポットだ夜中その前を歩くと電神柱に 寄り添うように立つ影を見るという見た後 どんな目に合うかという部分は様々な バリエーションが存在する話を聞いた師匠 はふんと鼻で返事をして周囲を観察してい たかと思うとやがて興味をなくして首を 振った先に進みながら師匠を振り返りどう でしたと聞くとTシャツの襟元をパタパタ させ ながら何かい るっぽいと言っ た何かいるっぽいけどよくわかんないよく わかんないってことは大したことない対し たことないっってことは余計に歩いて暑 いってことだよ不満げにそういうのだった 確かに暑い日だった本格的な秋が来る前の 最後の地熱が吹き上がってきているよう だった師匠がさわ料理が食いたいとまるで トルコに旅行した日本人がいきなり師 ケバブを食べたがるようなことを言うので 昼から食べるものではないということをし て納得させ2人でそばを食べたアーケード 街をブラブラと散策した後駅に戻るとワン ピース姿のココさんといつもと同じ ジャケット&ジーンズ姿の京介さんが ちょうど改札を出てくるところだっ たよと手を上げかけて京介さんの動きが 止まる師匠も止まると思ったのもつの間 一瞬の隙を疲れて俺はチクスリーパーに 取られる 何度引っかけるんだお前は頭の後ろから 師匠の声がする口調が笑って ない何度引っかかるんですか俺は右手を 必死に腕の隙間に入れようともがきながら も強気にそう言った向こうではキスを 返そうとする京介さんをここさんが押し とめている俺とここさんの説明を中心に 師匠が余計なことを言って介さんが本気で 起こる場面などを得て実25分後暑いし もういいよという京介さんの疲れたような 一言で4人同行という状況が追認される ことになった思うにこの2人共通点が多い のが同族嫌悪となっているのではない だろうか無類のオカルト好きであり ジーンズをこなく愛し俺という共通の弟分

を持ちそれからこの後に知ったであるが 2人とも剣道の勇断者だった俺はよくこの 2人を称して磁石のS曲とS曲と言った その時もお互いの磁場の分だけ距離を置い ていたのでその真ん中でここさんにだけ 聞こえるようにその例えを耳打ちすると 彼女は何を思ったの か2人とも絶対Mだとわけのわからない 断言をして俺にはその意味がその日の夜 まで分からなかった夜に何かあったわけで はないただ俺がそれだけ鈍かったという話 だただ1つその時に気になることがあった さっき師匠にチョークスリーパーをかけ られた時に感じた不思議な香りがかかに 尾行に残っているまさかなそう思ってここ さんを見たが相変わらず何を考えているの かよくわからない表情をしていたそうして いるうちに車が駅のロータリーに着いた 作業儀を着た初老の男性が車から降りて手 を振る叔父だったバスなり電車なりで 行けるよとあれほど言ったのにちょうど こっちに出てくる用事が 歩きと車で迎えに来てくれたのだったま 新しい汚れのついた作業儀を見てそんな 用事なんてなかったことはすぐわかる久し ぶりの俺の規制が嬉しかったのだろ 俺が連れてきた初対面の3人と愛よく握手 をしてさあ乗ったり乗ったりと笑ったここ から村までは来るまで3時間はかかる車内 でも叔父はよく喋りよく笑いその空気に 包まれてそれまでの険悪なムードは ひとまず影を潜めた日差しの眩しい国道を 気持ちよく走り俺は窓の向こうに広がる 景色を眺めながら来てかったなと気の早い ことを考えていた思えば無類のオカルト 好きが2人揃って俺の規制についてくると 言い出した事態の意味をその時もう少し 考えてみるべきだったのかもしれない荒野 の白馬と笑われても仕方がない俺は俺の ルーツでもある3幹部の飲酒と深い闇を 知らなすぎたのだっただがとりあえず今の ところはひたすらに暑い日だった駅まで 迎えに来てくれた叔父の車は7人乗りだっ たが女子席に叔父の家で買っている芝犬が 丸まって寝ていたので京介さんとここさん 俺と師匠という並びでそれぞれ中部座席 後部座席に収まっていた俺としてはその 芝居がまだ生きていたことにまず驚いた耳 の形に見覚えのある特長があったのでその 子供かと思ったのだが有本人なのだという 二十歳は確実に超えているはずだ叔父にゆ の年を聞くと忘れたと言って笑うだけだっ たこいつはドライブが好きでな昔はよう 連れてったもんじゃけんど最近は全然出 たがらんなっちゃったがよ今日は

珍しい京介さんが頷きながら手を伸ばし前 の座席で寝そべっている竜のお尻の当たり を撫でる竜はちらっとだけ視線を上げまた 静かに目を閉じた京介さんは動物が好き らしい車は会長に国道を飛ばしていた山の 道をひたすらに東へ進む右手に川が現れて ゴツゴツした巨大な岩が視界に入っては すぐに後方へ飛び去っていっ たなんちゃー なろ何もないところだろうそういう叔父の 言葉には変に飾ったところもつなもなく 気持ちが良かったここさんが土地のこと などをあれこれと聞き京介さんもいつに なく口がなめらかだった叔父が言った冗談 に師匠がやたら受けて笑い声をあげその 余韻で楽しそうに隣りの俺の方を叩き ながら顔を寄せて表情と全く違う冷めた 調子でところでと言っ た僕が今見ているものを伝えてもいいか俺 にしか聞こえないくらいの小さなさやき声 にいきなり霊水をかけられたような気分に なった日差しの強かったはずの窓の外が急 に暗くなり国道のすぐ横を流れている川は 闇に消えるように水面も見えなくなった 当りから音が消え車のフロントガラスの 向こうには黒い霧が渦を巻いているやがて 川沿いのガードレールの辺りに凍りついた ような青白い人の顔がいくつも選び始めた 暗くて首から下は見えない顔だけが のっぺりと浮かび上がっている男の顔も あれば女の顔もあるそれも大人が道路ぶち に立っているような高さのものもあれば その半分の高さのものはか見上げるような 位置にあるもの地面に落ちているもの様々 な顔がしかしどれも無表情でこちらを見て いるのだったそして無表情のままその顔 たちはそれぞれ口をかすかに開いている音 もなく車の窓ガラス越しに視界は走り手を 伸ばせば届きそうな距離に暗闇に浮かぶ顔 が丸で上下にうねるような連続体となって 見えたそれぞれの口の形は連続することに よっていくつかの単語を通りに強制的に 早期させようとしていた自分の心臓の音 だけが響き俺は暗い窓の外から目を離せ ないでいる 何を吹き込んでるんだ京介さんのその声に 不に我に帰った世界に音が戻ってきた 暗かった視界も一瞬のうちに霧が晴れた ように元に戻りアスファルトの照り返しが 目に飛び込んでくる師匠がすうと近づけて いた顔を 遠ざける別に何もそれを聞いて京介さんが 師匠を 睨む30分くらいでつく気に叔父が脳天気 な声でそう言った京介さんが前に向き直る

と師匠はまた顔を寄せてきて怖いな あいつという俺はさっきの体験を半数して どうやら師匠が見ているものの説明を 聞かされているうちにまるでハクチューム のようにリアルな最高築を脳内で行って しまったと結論 付けるもちろん催眠をかじっているという 師匠のいたずらには違いないその師匠が僕 の見ている世界はどうだったと聞いて くるあの顔は何ですかとさやき返すあの幻 からは拒絶という確かな悪意が感じられた ところが師匠はそれをお化けとも悪霊とも 呼ばなかっ た神様だよさえの神馴染み深い言葉で言え ば同祖人そんな言葉が耳元に流れて くる男の顔も女の顔もあっただろう相対 同祖人と言って男女についの道の神様だ辻 や道の橋にあり旅人の安全を祈願すると 同時に村や集落といった共同体への異物の 侵入を防ぐ役割を果たしている多分この 道路沿いのどこかに石に掘られたものがあ はずだ異物って何ですか俺の問いに師匠は おかしそうにさいた疫病とか悪業とか外 からもたらされる害悪の 源鬼は外服はうちてね幸をもたらすものは 歓迎し災いをもたらすものは拒絶する同祖 人はその線引きをする果な性格の神様だね もちろんうちにいるもにとっは何も気に する必要のない無害な神様さ師匠はそう 言って嬉しそうに 続ける僕くらいいろんな病気を持って外 からやってくる人間は別だ けど 病気ここでは何のイゴなのかすごく気に なるところだったが師匠は京介さんの鋭い 視線を感じたらしくまた自分の座り位置に 戻っていった車は国道から離れ道か剣道だ かの山道へと入っていった窓の外いっぱい に広がる緑の木を視界の橋に捉えながら俺 の頭の中には僕の見ている世界という単語 がへばりつくように離れないでいた師匠は いつもあんな底のするような悪意の中を 生きているのだろうか叔父がまた何か冗談 を言ってここさんが笑い声をあげた時師匠 がまた顔を寄せてき たあんなに強いのは 珍しいこれも土がかな車がようやく止まっ た思ったより早くついた道が良くなったの だろうか連れてこられたことしかない自分 にはよくわからなかったさあ降り 通せという叔父の声に俺たちは外に出る 見渡す限りの山の中だ目をあげると谷を 隔てた山向こうの峰は高い思わず小さい頃 よくやったやっほーという声をあげたく なるそして懐かしい叔父の家がさやかな

石垣の中の広い敷地に昔のままの姿で立っ ていたそれは子供の頃はおばあちゃんの家 だった高校1年生の時に祖母がなくなる まではその時の滞在は葬式のために 慌ただしく過ぎてしまってあまり印象が ないへへと疲れたような声を出して夕が 足元を通りすぎようとしたガシっと捕まえ て顔を両手でグリグリと 揉むこらお前葬式時もいたかされている ことに関心がない様子で吠えもせずにさ れるがままになっているあら あらあらというかい声とともに家の玄関 から付近で手を吹きながらおが出て来た その後は久しぶりにあった親戚の子供に 対するごく一般的なやり取りが続き連れの 仲間たちの紹介を終えてようやく俺は叔父 の家の畳の上に尻を落ち着け たみんなお昼は食べたがという尾の言葉に 頷くとじゃあ晩御飯はご馳走にしちゃおき 体でも動かし てきと言われたそれに適当に返事をし当れ た部屋に荷物を置くととりあえず台の字に なって車内でずっと曲げっぱなしだった足 をもう存分伸ばすさすがに田舎の家は広い でも記憶の中ではもっと広かった2階建て のその家は大昔に民宿をしていたという だけあって部屋の数も多い俺たち4人全員 に1部屋ずつ当っても十分足りたのだろう が男に女にということで2部屋を曲がり することにした ひれと言いながら師匠と2人でゴロゴロ 転がった後廊下を隔てた女部屋を覗いた襖 の隙間に片目を当て ながらおいどっちが広いおいこっちの部屋 より広いかなどという師匠の声を背中で 受け流しているといきなり中から現れた 京介さんにと言われながら蹴られた すごすごと部屋に戻ると玄関の方から若い 男の声が聞こえてきた近くの集落に住む 親戚の雪をだった顔を見ると懐かしさが こみ上げてくる子供の頃夏休みにこの家 やってくる度に遊んだものだどうしてると 聞くと役場でしがな公務員じゃとはにかん だように笑う そういえば確か俺より2つ年上だったそう かもう働いているの かじゃ今は昼休みじきまた晩にでも寄るわ 雪をはそう言って家にも上がらずに スクーターにまたがったどうやら仕事に 戻った叔父が道ですれ違いざに俺が来て いることを話したらしい時計を見ると昼の 3時をだいぶ回っている随分と大らかな 昼休み ださあこれからどうしましょうか4人で 集まって何をするか話し合ったじっとして

いると背中に汗が浮いてくる会議室の 男部屋は窓を大きく開け放ちクーラーなど つけていないらしきもはあるがスイッチを 押しても反応はなかっ た泳ぎに行きましょうという俺の意見に 全員が賛成した 旅行に立つ前にあらかじめ水の綺麗な川が あるから泳げるような準備をしておいて くださいと伝えてあったのでいもにもない 少し山を下るので叔父の家の車を借りた 向かう先に着替える場所がないので部屋で 水着に着替え服を羽織って出かけることに した来た時とは別の白い番のハンドルを 師匠が握り他の3人が 乗り込むセミの声の中を車は走りくねくね と山道を降りていくとやがて一軒の家の前 に出 たここに止めて ください川の近くには車を止められそうな ところがないいつもこの家の敷地の橋を 借りて止めさせてもらっていた暑いむわけ ではなかったがとにかく日差しが強かった サンダルに履き替えた足が気持ちいい舗装 もされてない田舎道を次暑いって言ったや 罰金などと言い合いながら歩いていると それなりに仲間らしく見えるのだから 不思議だつい数時間前にどうしてこいつが いるのかと師匠と京介さん共に喧嘩越だっ たのを忘れそうになる割とねちっこい師匠 に対してさっぱりしている京介さんの大人 の対応がこ装しているように思えた見通し のいい四に差しかかった時不に俺の前をを 歩いていた京介さんがあと言って しゃがみ込んだ師匠が嬉しそうに今暑いっ て言った暑いって言ったと言いながら 振り返る言ってない京介さんはすぐ 立ち上がり右足を気にしながら何でもない と手を振って みせるここさんがどうしたのと聞き京介 さんは歩き ながら何か踏んだかも と 答えるそんなやり取りの後数分とかからず に川にたどり着いた緑の深い渓谷の中に ひんやりとした水面がキラキラと輝いて いる昔とちっも変わらない住んだ水だった カカラに乾いた大きな岩の上に服と サンダルを放り投げ海パン姿になってた まじりの朝にそろそろと足を 浸す 冷たいでも気持ちがいいゆっくりと腰まで 使って川の流れを肌で 感じる師匠はと言うと準備運動もそこそこ にいきなり飛び込んで早くも 水水母は騒がを見つけたらしくしばらく

その辺りで足の先を濡らすだけだったが俺 が肩まで浸る頃ようやく羽織っていた服を 脱ぎ水着姿になって川の中に入ってきた火 の方から派手なクロールでも戻ってきた 師匠が膝まで使った女性2人の前で止まり 水中から首だけを出してじろじろと眺めた あげくうんと唸ってからここさんの方に 向かって右手で知りとける仕草をしたもう 少し離れた方がいいその言葉を聞いて きょとんとしたココさんはむに隣の京介 さんの方を見上げてついで足元まで 見下ろし芝居が勝った様子でうんうんと 頷いてからどういう意味だこらというよう なことを言って師匠に向かって水を 蹴り上げたその後しばらく4人入り乱れて の水のかけ合いが続いたやがて俺は疲れて 川から上がり熱い岩の上にたっぷりと水を かけて覚ましてからよいしょと 座り込む他の3人は気持ちよさそうに深さ のある火の当たりを泳ぎ回っている俺も 泳げたらなと思う完全なずというわけでは ないが足がつかないところへは怖くて とてもいけない溺れるという恐怖感という よりは足がつかない場所そのものに対する 潜在的な恐怖心なのだろう何も足に触れる はずのない水深で何かに触ってしまったら そう思うといてもたってもいられず自ら出 たくなるまして今川の真ん中に誰のものと もつかない土経路をした手が突き出ている のが見えている状況ではとても無理だ手に 気がついた時にはかなりドキっとしたが その脈絡の名に自分でもどう反応していい のかわからない感じでとりあえず深呼吸を した師匠たちの泳いでいる場所からさらに 下流岩肌の斜面から覆いかぶさるようなヤ が突き出ていてその影が落ちているあり どう見ても人間の手に見えるそれが二の腕 から上を水面に出してをつもうとするよう に手のひらを広げている師匠たちは気づい ていない俺は眼鏡をそろそろとずらして みるするとぼやけていく視界の中でその手 だけが輪郭を保っていたああやっぱりと 思うそこに質量を持って存在する物体で あるなら裸眼で見ると他の景色と同じよう にぼやけるはずなのだこの世のものでは ないものを見分ける方法として師匠に習っ たのだったが俺は夢から冷めるための方法 として似たようなことをしていたので割と 抵抗なく受け入れられた悪夢を見た時には ほっぺたをつって目を覚ますなんていう やり方が聞かなくなってきた中学生の頃俺 は夢なんて所詮俺の脳みそが作り出した 世界だという考えのもにその脳みそが処理 しきれないことをしてやれば夢はそこで 終わると考えた

夢から冷めたいと思ったら本を探すのだ 新聞でもいいとにかく俺が知るはずのない ものを見ることそしてそこに書いてある 情報量がページを構成するのに足りない ことを確認する本質からして都合よくでき ている夢なのだから本を読もうとすると それなりに本っぽい作りになっているかも しれないしかし中身は無理なのだ世界を 否定したくて文章を呼んでいる俺と世界を 成り立たせるために一瞬で構築される文章 その2つを同時に行うには脳の処理速度が 絶対に追いつかないそして化けの川が 剥がれたように夢が壊れていくそうして目 を覚ますのは俺の会館でもあったそれと 同じことがこの眼鏡をずらす手法にも 言える仮に途方もなくリアルな生首の幻覚 を見たとしてああこれは現実だろうかと 考えた時眼鏡をずらしてみるすると現実に は存在しない生首だけはぼやけていく世界 から取り残されたようにくっきりと 浮かび上がるもし脳の何らかの作用で眼鏡 をずらしたら生首もぼやけるという潜在的 な認識の元に生首もぼやけて見えたとして もそれはその距離であればこのくらい ぼやけるという正確な姿を示さない必ず他 の景色とはぼやけ具合が食い違って見える それが一瞬で様々な処理をしなくてはなら ない脳みその限界なのだと思うだが幻覚は また夢とも違うああこいつは幻だと気づい たところで消えてくれるものと消えない ものとがあるのだ うおという声が上がりここさんとぶつかり そうになった師匠が立ち泳ぎに 切り替える川でバタフライする なそんなことを言いながらここさんの方へ 水鉄砲を 飛ばすそのすぐ背後には水面から突き出 たて思わず師匠に警告しようとしたしかし 何か危険なものであるなら俺が気づいて 師匠が気づかないなんてことがあるの だろうかならばこれはただの幻なのだ俺の 個人的な幻覚を他人が怯える必要はない けれどなぜ今そんなものが見えるのか薄ら 寒いものが背中を生い上がってくる師匠は 何も気づかない様子で再び平泳ぎに戻り手 から離れて上流の方へやってくる俺は手 から目を離せない肘も曲げずまるで1本の よのように流れに逆らってとまっている そこから何らかの石を感じようとして じっと 見つめるふいにここさんが川べりで声を あげ たこれってん だろうそちらを見ると水面からわずかに 出っ張っている石にへばりつくように白い

ものがある近寄ってきた京介さんが無さに 指で つまむそれは水に濡れた紙のように見えた あと思う間もなくその白いものがちぎれて 水に落ち流されていった指に残ったものを しげしげと見ていた京介さんが神だという 目があるそう続けて残された部分にある わずかな切れ込みを空にかざした確かに そこには2つぽっかりと穴が開きそれは まで生き物の目をかっているように見え たよくそんなのに触れるな師匠がザブザブ と川から上がりながら 言うさんは何も言い返さずその白い髪を水 に投げた髪は沈みそうになりながらも流れ に乗った全員の視線が自然とそこに向かう 火でヤの影が落ちている辺りを通りすぎる 時あの手がもう見えないことに気がついた まるで溶けるように消えてしまっていた 自賛していたタオルで体を吹いて俺たちは 河を出た冷たい川の水に使ったことで さっきまでのまりつくような熱い空気が嘘 のように無償して涼しいくらいだった けれどそれも一瞬のことで歩き始めると すぐにまたじっとりと汗が浮き出てくる車 に戻る前に寄り道をして近くの商店で アイスを買った店のおばちゃんは見知らぬ 若者たちを不審そうに見ながらも棒アイス を4本出してくれたそういえば今日は平日 だそして若者の極端に少ないかの村だ 小さい頃何度かここでアイスを買っただけ の俺の顔を覚えていないのも無理はなく よそ者が来たと思っただけだろう開いて いるのかどうかもよくわからない店が34 件並んでいるだけの商店街だった食べ ながら帰ろうというみんなにちょっと待っ てくださいと言いながら俺は店のおば ちゃんにこの先の河て最近水難事故か何か 起きましたかと聞いてみたおばちゃんは眉 を潜め最近はないねとだけ言って次の俺の 言葉も待たず店の奥に引っ込んでいった ああ俺もすっかりよそ者なのだなと少し 寂しくなったその後アイスをかじりつつ元 きた道を歩きながら師匠が言うあの髪は兵 だね多分そうですと答えた 神様や悪業をかった神人よとでも言えば しっくり来るだろうかこの村では様々な 儀式にその兵を 使う何の兵だったそう聞かれても遠目に見 ただけだったし目が2つ開いているという だけではさっぱりわからない何より俺自身 がぬさについて詳しく ない川みさか水人かな師匠は自分で答える どこで調べたのか知らないが俺より知って いそうな口ぶりだ日が限り始めた道を だらだらと歩いているとさっきの四に差し

たかったするとまるでさっきの再現のよう に京介さんが短い声をあげて道に かこむさすがに驚いて大丈夫ですかと様子 を伺うと手で抑えている右のふはぎから うっすらと血が流れているのが目に入った ここさんがしゃがみ込ん で何かできったと聞いている京介さんは首 を横に降る切ったって一体何で俺は周囲を 見渡したが見通しも良く何もない道の上な のだ構いたちそんな単語が頭に浮かんだが 師匠が道の真ん中に両手をついてはいって いるのを見て一瞬で消える目を輝かせて まるでコンタクトレンズでも探すように土 の上に視線をはわせている何をしてるん ですかその言葉を飲み込んだ周囲の空気が 変わった気がしたからだ足元からゆらゆら と悪意が立ちの登ってくるような錯覚を 覚えて身を固くするおいよせ京介さんは 羽織っている上着のポケットから小さな 絆創膏を取り出してふはぎに張り立ちがり ながらそう言った師匠はそれが聞こえ なかったかのように地面を食い入るように 見つめて つぶやく何か埋まっているなここに心臓に 悪い言葉が俺の耳を撫でるように通り すぎる京介さんが師匠に近づこうとした時 ちりりんと耳障りな音がして自転車が 通りかかった泥のついた作業儀を着込んだ 中年の男性が不審そうな目つきでこちらを 見ている同じ法学からは似たような格好を した数人が自転車で近づいてきている四の 真ん中ではいつくばっていた師匠は何を 思ったかぴょんと勢いよく立ち上がると腹 減った 帰ろうと言った俺は気まずい思いで道を 開け自転車たちを やり過ごす通り過ぎた後もチラチラと視線 を感じたよそ者よそもの そんな声が聞こえた気がしたそれも含めて 俺は早くここを立ち去りたかった率先して 元北道へ進んで行き民家のそばに止めて あった車に 乗り込むそこでようやく嫌な感じが収まっ た師匠は上期限でエンジンをかけ再び打 する山道を登り 始めるここさんは何を思ったか京介さんの 絆創をつき痛いってと怒られた女子席に身 を沈めながら後部座席のやり取りにふと そんなことを思うミラーに移るココさんの 表情からはやはり何も読み取れなかった おじの家に帰ると従の初子さんが来ていた 叔父夫婦の長女だ年が離れていたので あまり印象は残っていないが今は同じ集落 の家に嫁いでいるらしい 今日は応援と言ってコブの体を機敏に

動かしながら尾の水字を手伝っている俺 たちはと言と夕飯までの時間をそれぞれの 部屋で過ごした6に泳いでいないのに俺は やたら疲れていてううしっぱなしだった ほどなく茶の間に呼ばれ王女体での食事が 始まった近くの山で取れた山菜をふだに 使った田舎料理は実家の母がが作るもの よりお袋の味がしてなんだか干渉的になる 俺たち4人当時 夫婦初子さんとその小さな 子供そして実にタイミングよく現れた雪を 国人で囲む食卓だった何がすごいってその 人数で囲める茶台があることだ今はもう こんなでっかいのがいる時代じゃない けんどの当時は苦笑したこの家にはあと 1人実際と呼ばれるおじいさんがいるのだ がネタきりに近いらしく食卓には出てこ ない実際と言っても俺の祖父に当たる人で はなく祖母の兄らしいらしいというのは 会ったことがないからだ身よりがなくなっ ていたところをこの家で引き取ったそうだ 俺の足が遠のいてからのことだっ たにゃあにゃあ 雪夫がひそひそと口を寄せてく 来るどっちが彼女ながこれには彼なりの 期待も含まれているのだろう京介さんここ さんも一般的には美人の部類に入るだろう からどっちも違うそう言うと意外にも残念 そうな様子で両方あの兄さんのかとため息 をつくの だ片方だけと言ってやるとふんと返事をし ながら肉系ばかりを橋でかき集め やがるその時家の外に犬の遠吠えが響いた あゆの晩御飯忘れちょったそう言っておが 腰をあげようとすると初子さんが笑って先 に立ち上がった俺はふと思い出して叔父に 祖母の葬式の時に夕がいたかどうかを聞い たおらんかったかや叔父が首をかげている とおが手首から先をきよに折り曲げながら 言うほら実さが捨てた後じき叔父はおう あの時かと言って生殺を話してくれたどう やらゆは祖母の葬式の2ヶ月ほど前に死ん だのだそうだ目を閉じて動かない竜を見て まだ足腰がシャンとしていた実さが死んだ 死んだと大騒ぎし裏山の大杉の根元に埋め に行ったのだがちゃんとこれが早が自力で 土から生出てきたらしく半年後に山中での ライをやっていたところを近くの集落の人 が見つけて連れてきてくれたのだそうだ この話俺の連れには大いに受けたが俺は なんだやっぱり別の犬なんじゃないかと 思ったしかし長年暮らした家族が竜だと いうんだからと考えるとなんだかあやふや になるあでもう1度じっくり顔を見て みようと心に決めたそれから目の前の料理

が減るのに反比例して会話が増えていき俺 は頃合いを見計らって口を開い たなんかイザナ竜のことを知りたがってる みたいなんだけど師匠と京介さんの方を 見るするとすぐさま雪夫が身を乗り出し ただったら俺俺俺今先生について習いがよ 意外に思って適当なこと言ってないか こいつと疑ったするとおがあんたは神楽 バージャロがねと笑うどうやら先生につい ているのは本当らしいただ神楽舞を習って いるだけのようだイザ龍の神王は神楽では なく当などにあるというのは俺でも 分かるまあでもいのことが知りたかったら 誰かに聞かんとわからんき雪夫先生に 合わせてもらったらどうかそういうのだ 叔父のその言葉はイザナ龍の一性を端的に 表しているそもそも俺の田舎に伝わるイ流 とは音名堂や手元道密教や浸透が混した 民間信仰でありそれらが混ざり合いながら も古く純粋な形で残っている全国的に見て も貴重な伝承だそうだ祭りや払い沈めなど を行うその技はしかしほとんど公にはされ ないなぜならそれらは多から多へ原速区電 によって送電されていくからだもちろん その膨大な気動術体系を丸暗期はできない しかしそのための覚えが極はまた師匠から 弟子へと門外不出の門として伝えられる のみなのである何かのお祭りには必ずとと 言っていいほど多重さんが絡むが俺の記憶 の中ではその気筒はただそういうものとし てそこにあるだけでなぜには答えてくれ ない何をするためになぜその気筒が選ば れるのか何をするためというのは分かる川 で行われるなら水の神様を祭り沈めるため で家で行われるなら家の安泰のためだだが なぜその気筒なのかという部分には天幕が かかったよに見えてこない気筒は様々な 系統に分かれ使う兵だけで数百種類もある ので あるよっしゃ明日早速 行こう雪夫は橋をくるくると回して俺たち の顔を見る師匠は願ってもないと頷いた 京介さんも頼みますと軽く頭を下げる俺は 明日も平日だったことを思い出し雪を が大丈夫大丈夫 と受け合いた色々と大丈夫な職場らしい 幸夫と初子さんたちが帰って行った後俺 たちは順番に風呂に入ることにした夜に なってようやく涼しくなってきたが汗を 重ねた肌が気持ち悪い女性人は後がいいと いうのでまず俺ついで師匠という順番で 入ることにした早々に俺が風呂から上がり 3人でトランプをしているとTシャツ姿で 頭から湯を登らせながら師匠が出てくる ああ気持ちよかった風呂に入ったのって

半年ぶりくらいだその言葉に女性2人の目 が冷たく なる ちょっと寄らないで くださるステレオで言われ師匠は分 するておい僕ははなんだって弁解する師匠 に冷たい視線を向けたまま2人は女性部屋 に戻っていっ た知ってるだろ和め師匠に振り向いた京介 さんがいつもより強い調子で と言った俺は笑いをこらえるのに必死 だったこれだよ2人を無理やりセットにし た会があったというものだそれから疲れて いた俺たちは早々に床に着いた若者のい ないこの田舎の家は寝つくのが早くあまり 遅くまで起きて騒がしくしても悪いという 思いもある寝る前に竜の顔を拝もうと思っ たが犬小屋に引っ込んでいてお尻しか見え なかった部屋の明りを消し扇風機に首を 振らせたまま横になるとあっという間に 眠りに落ちたどのくらい経っただろうか バイクの音を遠くで聞いた気がして夢うに なぜか雪がまた来たと思ったそんなはずは ないと思いながら徐々に頭が隠せしむくり と起きる腕時計を見ると深夜に時過ぎ トイレに行こうと起き上がると隣の布団が 殻になってい た師匠と小声で呼びかけるが部屋のどこに もいないとりあえずトイレに行って用を 足したそして部屋に帰る時に縁側にの影が 映っているのが見えたそっと生子を開ける と京介さんが縁側に腰かけて員にたたずん でいた右手には タバコその横顔は昼間に見るよりも りりしくそして神秘的に見えたカな月の光 がその方を濡らすように照らしている そんな俺の視線に気づき京介さんはこちら を向いて煙をそっとと吐き出し た深い森だ そう言ってまた目の前に広がる夜の山を 眺めるそうか京介さんは自分の部屋でない と眠れないということを今更ながら 思い出した上案という言葉があるだろう 症状な闇という意味らしいなここは空気が いいそう言って木の黒い影を見つめている 遠くで脇水の流れる音が 聞こえる師匠を見ませんでしたか相当と煙 を吐きながら答えてくれ たバイクで出ていったなそういえば叔父 から滞在中自由に使いなさいと言われてい たことを 思い出す明日も色々ありそうだそう思って 今日のところはきちんと寝ておくことに するお休みなさいそう挨拶すると京介さん は小さく手を振った

第2章イナ 竜朝が来た目を覚ますと隣で師匠がひどい 寝をしていた少しほっとするそれから4人 当時夫婦と合わせて6人で朝食を取る何か 足らない気がしたそうだ新聞が ないああ昼にならんとこんそういえばそう だった俺のpHも師匠の携帯も通じない 情報を制限された田舎なのだ食べ終わって 部屋に帰ると師匠に昨日の夜のことを聞い てみ た行ったんですよねあの京介さんが怪我を した場所へうんと師匠は答え扇風機の スイッチを入れながらあを描い た何かあったんですかいや何もなかった えらない答えに少しイラっとするあんな やり取りをしておいて何もないはずはない すると師匠は意心に目を細めゆっくりと口 を開い た昼にはあり夜にはなかった掘り出されて いたというの だ僕らが気づいたことを知られたようだな 言葉の橋に君の悪い笑が浮かんで いる何が埋まっていたんですか 師匠はすぐに答えず畳の上にごんと 寝転がった犬神を知ってるか聞いたことは あります京介さんがこの旅の前に口にして いたのを覚えて いる古くは呪言道の手術に由来すると言わ れる邪悪な術だよ犬神を刺激する人間が 他人のものを欲しがれば犬神はたちまちに その人に災いをなしそのものを与えるまで 止むことはない犬神は親から声と受け継が れその家は犬神筋とか犬神島などと呼ば れる犬神筋は共同体の中で意味嫌われ婚姻 に代表される多くの交流は拒否されるその ために犬神筋は一族館での通婚を重ね ますますその地を告していく師匠は秘密 めかして仰向けのまま指を 立てる犬神というのはその名前とは裏腹に 小さなネズミのような姿で書かれることが 多いもしくは豆台の大きさの犬だとする 記録もある犬神筋はそれらを敵対するもの に消しかけ腹痛や光熱など急激な変調を もたらす犬神に取り付かれたものは山星や 坊主などに原因を探ってもらいどこの 誰それの犬神が触っているのだと明らかに するその後は原因とじられ犬神筋の家を 赴いて貢ぎ物を差し出すわけですか口を 挟んだ俺に師匠は首を 振る文句を言いに行くんだよ人の道に外れ たことをしやがってと犬神の伝説が息づい ているのは農村地帯がほとんどなのだそう だ人と人との関わりが深く濃密な狭い共同 体の中で何か理不尽な災いが起こった場合 それを誰か特定の人間のせにしてしまうの

は日本の古い社会構造の歯車の1つなの だろうそれが差別階級を生む要因にもなっ ているところが師匠はこの犬神筋について はいわゆる差別ブラクミとは少し意味合い が違うと いう犬神筋は裕福な家と相場が決まって いるそれも農村に商品経済貨幣経済が浸透 し始めた頃に生まれた進行自主がほとんど だ土地を持つことそして畑を耕すことが 全てだった農村の中に土地を貸し貨幣を 貸し商品作物を有痛させることで魔法の ように豊かになっていく家が出現する そしてこのパラダイムシフトを理解でき ない人々は思うあの家が金持ちになったの は犬神を使っているからだと我々の土地を 材をどん欲に欲しがり犬神を刺激してそれ らを搾取しているのだと金がないのも土地 がないのも腹を出したのも怪我をしたのも 全部犬神筋のせいだというんだそう信じる ことで共同体として何らかのバランスを 保とうとしているのかもしれない気が 触れるということを昔の人は狐がついたと か犬がついたとか言うだろう師匠はそう 続けるこれは犬神に限らず狐付きも蛇神筋 も猿神筋も同じだ気が触れたふりをするの はとても簡単でしかも何がついているのか を容易に表現できるからだ狐なら狐の真似 を犬なら犬の真似をすればいいそうすれば つき物筋という家が存在しそれが他に害を なしているということを搾取されている 人々の間で再確認することができる要する にやらせなのだというように俺には聞こえ た犬神は何かおおしい存在なのではなく いやそれ自体が人の心の闇を秘めているに せよ農村における具体的な不満解消の システムの1つに過ぎないのだとそう 聞こえたのだった気持ちよく喋っていた 師匠が不に押だまる変な沈黙に息が詰まる ような気がした俺はそのの沈黙の中で前日 にあの四辻で京介さんが倒れたシーンと その後に襲われたおかがノりをかめ だんだんと気分が悪くなっていったまた 師匠がゆっくりと口を 開く犬神の作り方として伝えられる記録に こんなものがあるまず犬を土中に埋め首 だけを出して植えさせるそして上が極限に 来たところで餌を鼻先に置き犬がそれにぶ つこうと首を伸ばした瞬間にその首をなで 跳ねる念のこもったその首を箱に収めて術 をかけ犬神とするその時残された胴体は道 に埋めたままとしその上を何も知らない 人々に毎日踏みつけられることで犬の念は 継続しまた強固なものになっていくその道 が往来の多い四であればなお理想的とさ れるう思わず口を抑えた嫌な予感が頭の中

でパチパチと音を立てているような気がし た雪をがバリバリと派手な音を立てて原付 に乗ってやってきたのは朝の10時過ぎ だったおゆうお出迎えとは珍しいにゃあ そう言いながら軒先に座っている竜の頭を 撫でた俺も朝方飯を食べにのそのそと 犬小屋から生出てきたゆの顔をじっくりと 観察したが記憶のベールは熱くかかった ままで自信ないけど言うらしいという程度 のことしか感じられなかっ たじゃあ早速 行こう雪夫が原付で先導し俺たちは師匠の 運転で叔父に借りた車に乗ってついていっ た最初京介さんが運転席に乗ろうとすると 師匠が初心者マークは大人しく後ろに乗っ てろというようなことを言っ てそっちも大した腕じゃないくせにと 言い返され険悪なムードになりかけたこと を言い添えておく幸夫先生は本当に学校の 先生だったらしい幸夫は小学校の頃に 教わったことがあるそうだ丁年になり自分 の子供たちが1人立ちすると山奥に土地を 買って住まいを構え奥さんと2人で静かに 暮らしているとのことだっ たこんな田舎で公務員なんてやってると 伝統ってのを守る義務から逃げれんがよ 出がけに雪をはそう言ったが神楽を習って いること自体はまんざら嫌でもない様子 だっ た先生はちょっと気難しい気変なこと言う ても気悪せ取って ください俺は幼い頃に見た白族の多さんの 神秘的な姿を思い浮かべ たは一度国道に出てから川沿いを走り再び 山川へ折れるとそこからは延々と山道を 登っていった道は悪く割れた岩のかけらの ようなものがアスファルトの上の底かに 転がって いるこれって落石じゃないのかと師匠は ブツブツ言いながらも慎重に石を避けて いく昨日より行分日差しは穏やかで車の窓 を開けると風が入ってちょうどいい涼しさ だ不に山の斜面に蛇の黒い胴体を見た気が して身を乗り出した時後部座席のココさん が口を開い たバイクから離れない方がいいさっきまで 隣の京介さんを意味なくくすぐって騒いで いたのに一変して真剣な響きの声だった 思わず前方に視線を移す雪見失いそうに なっているのかと思ったがそうではなかっ たどういう意味だったのだろうとここさん の方を振り返ろうとした時不思議なことが 起こった雪夫の原付が加速した様子もない のにするすると先へ先へと遠ざかっていく のだ坂道でこっちの車の速度が落ちたのか

と思ったがそうではない速度メーターは 同じ位置を差したままだ何が起こっている のか理解できないうちに車は原付から離さ れ雪夫の白いヘルメットはこちらを 振り向きもせずに曲がりくねる山道の奥へ と消えていこうとしていた アクセル京介さんが鋭く言ったが師匠は 踏んでるとだけ答え真剣な表情で正面を 見据えているこちらが遅くなったわけでも 原付が早くなったわけでもない俺の目には 道が伸びていっているように見えた周囲を 見回すが同じようなの景色が繰り返される だけで一体どこが歪んでいるのかわから ないそうしているうちに完全に雪をの原付 を見失った道は1本道だ追いつくまでは このまま進むしかない師匠は1度ギアを 落としたが回転音が派手になるだけで効果 が ないまずいなギアを戻しながら つぶやくこれって何のたり師匠の軽い調子 に京介さんは知らないと 突き放す俺は今起きていることが信じられ ずにひたすら目をキョロキョロさせていた まだ午前中の早い時間帯だ全てが冗談の ように 思える実に まずい前方に目を向けると道がますます 狭くなっているような気がしたカーブも きつくなっていてフロントガラスの 向こう側の景色は一面に切立する木 きき緑色と山の黒い地肌が壁となって迫っ てくるかのようだギリギリに車線の幅が今 は完全に1車線になっているガードレール も消え去ってしまった右側は渓谷だ転落し たらまず命はない反応を見る限り俺が見て いるものを他の3人も見ているのは間違い ない集団 厳格そんな言葉が頭をよぎるしかし車の アクセルの効果までそんなものに束縛され てしまうのだろう かなあと師匠がここさんに呼びかけ たこれって夢じゃないここさんは首を横に 振る師匠は少し立ってから 頷く妙なやり取り だ何かに変が起きてくれればヒントになる んだけどな例えば木の枝に人間が 吊り下がっているとか囁くような師匠の 口調に思わず身をすめた本当に周囲の三輪 の中にそんな不気味な光景が現れるような 気がしてチリチリと同じの毛が 逆立つ前伸びる道と後ろへ伸びる道その 両端が曲がりくねる山のどこかで繋がって いるようなイメージが頭をかめぞりとした 師匠は迫ってくる鋭いカーブに際どく ハンドルを切り続けているまるで止まる

ことを恐れているようだった異変異変 そんなフレーズが頭の中で繰り返されて いると視線の中に見覚えのあるものが ちらっと映った気がした山の斜面に目を 凝らすがそれはあっという間に通りすぎる 少しして前方にもう1度同じものが現れた それを見た瞬間俺は叫ん だ蛇が師匠が見事な反応でブレーキを かける車はカーブする斜面にこすりそうに なりながら止まった京介さんが後部座席の ドアを開けて 飛び降りるそしてすぐさま木の根っこを よじ登り山肌に横たわった黒い蛇の姿を 捉えた俺たちも車から降りて近づく 見るとその黒い頭には長い釘が津々と 突き通している頭から顎まで貫かれて地面 に縫いつけられ蛇は死んでいた竹の短い草 の中にのたうつその体が近水のように 湧き出たドス黒い血のように見える京介 さんが右手の指を絡ませその釘を抜いた その瞬間上空から上空から年かいよがない 場所から耳をつんざくような悲鳴が聞こえ た男とも女ともそして人とも獣ともつか ない声だったしかし次の瞬間説明しがい 感覚なのであるが一瞬にしてそれが幻聴だ と分かったのだったそして何か目の前の 光景が今にもペロリと裏返りそうなそんな 不気味な予感に襲われるざわざわと木の枝 が鳴って俺は足を棒のように固まらせてい た 車に 戻れという師匠の声に我れに帰ると 逃げ込むように女子席に飛び乗ったシート ベルトをする暇もなく車は急発進する そして次のカーブを曲がるやいなや雪の 原付が目の前に現れた遠ざかっていく前と 何も変わらない様子で山道を走り白い ヘルメットがごとごとと揺れている道も いつの間にか元の幅に戻ガードレールも 所々へこみながらもちゃんと両側にある俺 は言葉を失って首をゆるゆると振るまるで 緑色の迷宮に閉じ込められているようだっ た間時間が全く経過していなかったかの ように全てはすっきりと繋がっていた まるでハクチュームのような出来事に呆然 と するやってくれたな師匠が深く息を吐いて 背もたれに体を預け た今のが人間の仕業とは言葉の端から ゆらゆらと青白い炎が立つような声だった 京介さんの方を見るとさっきの蛇に 打ち込まれていた釘を手にして いる持っていろそう師匠が言った途端京介 さんは窓からそれを投げ捨て たおい怒るというよりため息をつくような

調子で師匠がとめる京介さん は余計なものが余計なものを招くんだよと 言って横を向いた師匠は恨めしそうに バックミラーを睨んでいる前を行く雪夫が ハンドルから片手を話し山川を指さした もうすぐ目的地だということらしいまも なく俺たちは山の中にポツンと立つ一軒屋 にたどり着いた叔父の家によく似た作りの 2本家だ広い庭に庭鶏を買っている雪夫が ヘルメットを脱ぎながら家に向かって 先生と声をかけ俺は後ろから近づいてその 耳元に小声で 尋ねるさっき俺たちの車を見失わなかった か いやと雪を分け幻想に首を振るそうだろう とは思ったおそらくあれは俺たちの霊感に 反応したのだろう雪鬼は何事もない山道に 過ぎなかったはずだだが俺たちが狙われた のは明らかだった何か警告じみた悪意を 感じたからだそれは京介さんが足から血を 流したあの四で感じたものと同質のもの だった俺は師匠の顔を見たが首を横に振る だけだった成行に任せようというように 電話しといた霊の人たち です雪夫が玄関の中に体を入れながら奥に 向かって言葉をかけるやがて返事があって 俺たちは家の中へ招き入れられた畳敷の 客間に通されその生前とした室内の雰囲気 から正座して待った廊下がきしむ音が 聞こえ白髪の男性が襖の向こうから姿を 表した野小学校の先生だったというので もう少し若いイメージだったが70に 届こうという年に見えた先生は客間の 入り口に立ったままで室内を平しあをかい ている雪王怒なっ たおしどこのもんを連れてきたがじゃ えと言って雪夫は目を向いた俺は驚いて 仲間たちの顔を見る先生は険しい表情の ままキスをと足音も乱暴にその場から去っ てしまったそれを慌てて雪夫が 追いかける残された俺たちは呆然とする しかなかったしかし師匠は妙に嬉しそうな 顔をしてこういうあのじいさんどこの物を 連れてきたのかと言ったねその物はシと 書物じゃなくて 物の本と書くもかそう言いながら師匠は くすぐったそうに身をよじる京介さんが その様子を冷たい目で見ているやがてもう 一度襖が開いて先生の奥さんとおしおばあ さんがしずしずと俺たちの前にお茶を並べ てくれ たあの口を開きかけた時先生が雪を伴って 眉間にシを寄せたまま現れた入れ違いにお ばあさんが襖の向こうに消える座布団を すっと引き寄せながら先生は俺たちの前に

座った雪夫も頭をかきながらその横に 控える で先生は深いしの奥から厳しく光る眼光を こちらに向けて口を開いた先にいる直が わしは本来おまんのようなもんを払う役目 があるその目は師匠を見据えて いるその上で聞きたいことというがはなん ぞ師匠はひんだ様もなくあっさりと口を 開い たイザナ流の勉強を少しさせてもらいまし た密教音量動手元道そして呪言道それらが 混然一体となっているような印象を受け ました中でも音名堂の影響がかなり強く出 ているようです明治3年の転写浸透禁止令 とその後の弾圧から土創家はもちろんう無 像の民間音名も息の根を止められていった はずですがこの地ではどうしてこんな現実 的な形で残っているの でしょう先生は表情を崩さずに知らんと だけ答え たまあいいでしょう法律の縁ってやつです かそういえばむささびも魔事件ってのも 舞台はこの辺りじゃなかったかな話がそれ ましたともかくイザナ龍はこの平成の時代 に未だに因縁長だとか病人当だとかを真剣 に行っているばかりか式を打つこともある そうです ね式王子のことか生半に言葉 ばかりま焼き場なのは認めますが僕が知り たいのは実は犬神筋についてなの ですわしには関係ない先生は淡々と 返すまあ聞いてくださいご存知でしょうが 犬神筋というのは四国に広く分布する伝承 です師匠は星座したまま語った曰く犬神を 払うことのできる技の伝わる場所にはそれ ゆえに犬神が社会の真相に潜む余地がある のだとましてそんな技法が日々の生活の中 に織り込まれているこの地では犬神もまた 日常のすぐ隣に存在して いるここに来る途中頭を釘で貫かれた蛇を 見ました明らかに呪いをかけるための道具 立てですもしかりに誰かの使っている犬神 のその胴体を埋めてある秘密の場所を 見つけられてしまったとしたらその誰かは 一体どうするのでしょうか師匠の言葉が 途切れた瞬間みんなの手元の湯呑が一斉に カタカタとなり始めた自信かと思いとっさ に伝統の紐を見る紐はわずかに揺れていて 外から光のさす生神もかかに振動していた こぼれたお茶の静を京介さんが指で救い じっと見つめている俺はどうやらただの 小さな地震らしいと思ったがえいの知れ ない不安に胸が騒いだ揺れが収まってから 先生はゆっくりと口を開い たいえと問い返す師匠に帰れという方言

ですと俺は耳打ちし たそれはこの血をさるほかないということ ですか師匠は立ち上がり正時に近づくと骨 に手をかけるさっと気がすれる心地よい音 と共に眩しい光が飛び込んできた縁側の 向こうでは庭に作られた垣根の中で庭鶏が 地面をついばんでいるその様子を見ながら 師匠がぼりと言った全然騒ぎませんでした ねさっきの自身のことを言っているのだと 気づくまで少しかかった確かに鶏の騒ぐ音 はしなかっ たなんとかなりませんか師匠の言葉に先生 は首を横に振るだけだった雪をはおろおろ して いるどうも僕はここではやたら嫌われてる みたいだなフィールドワークのために強士 研究だとか民族学の研究者が訪ねてくる ことだってあるでしょうにそんな無害者も みんな追い返すんですか人じゃのうて魔物 がやってくりゃつぶてで追い払うがつじゃ 魔物と来たよ師匠は声にならないほどの声 でこぼしまた顔をあげ た魔物といえばイザナ竜では目に見えない 魔物を儀式に引っ張り出すために兵という 神工を作るそうですね 魔軍というんですか川先だとか水神面立だ とか蛇温ただとか神様を模したものも多い ようですがそれぞれに決まった形の兵が あって切り方折り方は師匠から弟子ご集と いう形で伝えられると聞きましたある資料 で何点かさし絵を見たことがあります八だ とかクラオだとかおおしい怪物も兵になっ てしまえば随分可愛らしくなってしまうと 思いましたところで師匠は表示を閉めた 一瞬室内が暗く なる犬神の兵がないのはどうしてですか誰 の気配ともしれないはっとした空気が ただよう俺は片を飲んで師匠を見たどの 資料を見ても出てこないんですよ犬神を かった兵がかもしれないあるいは見落とし かもしれないでもどこか引っかかるんです 犬神は深く土地に食い込んだ魔物で四国の 各地に隠然と広がっているイザナ流によっ て払われる対象としてどうしてもっと 目立っていないんでしょうか先生は師匠の 視線をそらすように点を仰ぎ深くため息を ついたそしてそれきり目を閉じて何も言葉 を発しようしなかっ たわかりましたいますよいますすって使い 方あってるよね師匠は俺にそう言うと先生 に向かって頭を下げ止める間もなく部屋 から出ていってしまった残された俺たちも 痛まれない雰囲気になって腰をあげざるを 得なかった出されたお茶に誰1人手もつけ ないままに退散するはめになるとは思わ

なかった その時俺の隣で京介さんが目の前の湯呑み に手を伸ばし一気に飲み干した帰れと言わ れた去り際にそんな下品なことをする なんて京介さんのイメージとはずれがあり 奇妙な行動に思えたすると立ち上がりざ俺 にだけ聞こえる声でこう囁くの だ貸してるタリスマンは持ってきたか俺が 首を左右に振ると京介さんは独り言のよう に 気をつけろよと言って部屋から出ていった 俺は何か予感のようなものに襲われて自分 の前に置かれた湯呑みを掴んだ冷たかった 思わず手を離す出された時は確かに湯が出 ていた間違いないあれからほんのわずか しか時間は経っていないというのに一瞬の うちに熱を奪われたかのように湯呑みの中 のお茶は冷え切っていたまるで組み上げた ばかりの井水のようにあれは自信じゃない な家が揺れたんだよ先生の家を半ば 追い出され俺たちは庭先に止めていた車に 乗り込ん だ犬神という言葉に明らかに反応してい たこいつはなんとしても探し出さないとな 師匠はエンジをかけながらそう言うしかし 京介さんのきっぱりした声がそれを さえぎっ た待った探し出してどうするつもりだ一連 の出来事は普通じゃないありえないような ことが立て続けに起きている下手に首を 突っ込みすぎると危険だ師匠は目の前に 並べられるそんな言葉に薄ら笑いを浮かべ て怖いんだと煽るようなことを言う京介 さんは刺すような視線を向け とそうだよと言った コンコン車の窓をバイクにまたがったまま 雪をが叩いたウインドを下ろすとさっきは すまざった先生今日は機嫌が悪かった みたいじゃきでもこの後どうするゆかりの 跡とかやったら案内する 剣と首を突き出した少し考えてから京介 さん はそれと他にイザナりに詳しい人がいたら 紹介して 欲しいと言ったああよしさんやったら多分 家におき行ってみようか俺は思わず師匠を 見たがしあげな顔をした 後1人で戻ってるよと言ったバイク化して くれると雪夫に声をかけて運転席から降り た何も言わず京介さんが入れ替わりに運転 席に座る女子席に乗り込みながら雪夫が あの家に止めといてくれたらいいすからと なぜか申し訳なさそうに言った僕がいない 方が話を聞けそうだしなじゃ部屋で寝てる から師匠はそう言って手を降ったその時

頭身という軽い振動がお尻の辺りに響いた 思わず周囲を 見回す師匠が音の下らしい山の上の当たり を睨むように見上げている幸夫は今 思い出したという表情でぼそりと言っ たそういえば先週から葉っぱやってるな それを聞いて京介さんがにやっと笑い ながら 言う確かに自信じゃないな師匠は口を歪め て何も言わずにバイクにまたがったそれ から俺たちは多重をしているよさんという おじいさんの家にお邪魔してイザナ流の あれこれを聞いたよさんは愛の良い人で 雪夫先生とは偉い違いだったが肝心な部分 の説明ではするりと焦点をぼかすように かわし結局その高校野前とした姿勢を崩さ ないままに俺たちの知識に何1つ価値の あるものを加えてはくれなかっ たそれで新色の多さんと我が流れの多別 する時は墓所というがよそこまで語った ところで家の電話がなりよしさんは中座を するとしばらくしてから戻ってきてこれ から出かける胸を俺たちに伝え たありがとうございましたとりあえずそう 言って立ち去ったものの不というほどでも ないがやはり肌触りの悪い場の空気に自分 たちはよそ者なのだということをまた 思い知らされただけだったそれを感じて いる雪夫もまたますます申し訳なさそうな 表情になりその後案内してもらったイザナ 流ゆかのスポットでも大して得られるもの はなかったただ地元の記念間でイザナ龍の 兵を実際に見ることができた見てぐらと 言って輪の形にしたわの上に神でできた 人形兵をいくつも置いて祈るためのものも あったイザ龍には裾という概念がありそれ はよく耳にする呪いとは少し違う人間同士 が高論などをして生まれる恨みつらみや 嫉妬などの人に向けるマイナスの感情の ことだそれは意図して相手を害しようと するものではなくそういうマイナスの感情 を持った時点で向けられた相手に何らかの 害をなすといういわば本人にも コントロールできないものなのだ生霊の 概念に近いかもしれないただ裾には人の 産むそれらだけではなく広く資料やそれ山 や川の魔物や神の眷属たちから発生する 触りたりなども含まれるミグはその裾を 封じるためのものだしかし裾は本来人の 産んだものや魔物や心霊が産んだものが 複雑に絡まりあって存在しており封じる前 にそれらを性質ごに分離する必要がある それが取分けと呼ばれる儀式だイザナ流の 左右は様々な方法でその取り分けを行い 返すべきは返し祭るべきは祭りそれでも

なお残った裾を見てぐに封じて川に流すの だあるいは山や河に埋めることもある埋め た場合はその後も注意が必要で埋めた場所 を踏んでしまったり雨で見てくで出てくる ようなことがあるとまた裾は復活し災いを なす記念間のガラス越しにそんな説明を 読んだ京介さんは自分の手を見て気持ち悪 そうな顔をした昨日川で遊んでいた時に石 にへばりついていた白い髪を手に持って しまったのだ師匠がよくそんなの触れるな と言っていたがやはりあれは兵だったの だろう誰かの裾を封じた神川で見えた水中 から伸びるあの白い手はその裾に関わる 何かだったのかも そう思ってぞりとし たふんと言って京介さんはズボンの ポケットにその手を突っ込んだなんだか どっと疲れが出て俺たちはとりあえず家に 帰ることにしたくねくねと山道を登り ようやくたどり着いて車から降りると雪は 庭先に止めていた自分のバイクに まがり仕事少し 残っとやはり申なさそうに去っていた家に 入るとおそめ食べんかね場に進められ氷 乗っけてという俺の注文の通り金金に冷え たそめがすぐに茶台に並べられた師匠を 呼ぼうとして部屋を覗いたが扇風機の首を 振らないようにした状態でまともに風を 浴びながらそれでも寝苦しそうに掛け布団 を抱きしめて眠っていた昨日の夜中に1人 で村の中を探索していたようなので疲れて いるのだろうそっとしておいて京介さん たちと3人でそめを食べたセミの鳴き声の 中軒下の風林が鳴り少し遅れて頬を撫でる 風が 心地よいそめを食べ終わるとまだ日は 高かったので寝ている師匠を残して外に 遊びに行ったダム子があるのでそこへ行っ てみようということになってまた叔父に車 を借りた京介さんの運転だ少し走ると山が 開けた場所に濃い緑色の水がななと溜まっ ているのが眼下に見えてき た大きい ねここさんがそう言って後部座席の窓から 顔を 出すこのダムの底に沈んだ集落もあった そうですよ勝が続いて水が下がってくると 昔の建物の跡が見えることもあるそうだが が俺も見たことはなかっ たあそこが蛇島ですダムの中にポツンと 浮かんでいる小さな島を指さしていっ たなんで 蛇島蛇が出るのか京介さんにそう聞かれて 多分と 答えるだんだん思い出してきた雪音も自転

車でこの辺りをよく遊んで回ったものだ ダムの周囲を車まで通り回っていると不に 京介さんが何か感じたように首をかしげ たこっちは何があるサンサロになっている ところで停車し山川の老杉の子たちが しげるカーブの先を指差していっ た行き止まりだった気がしますけど標識も 何もないひょっとしたらこのまま進んだ道 とまた合流するのかもしれない京介さんは 少し考えてからカーブの方へハンドルを 切ったそのまま少し行くと何かの倉庫 らしい建物を過ぎた辺りでやはり 行き止まりになってしまっ たちょっといいか京介さんはその道がつき た行き止まりに車を止め山の方へ登る小達 の隙間へ足を踏み入れたきちんとした道で はないが人が通るような跡があった地元の 人が3歳でも鳥に入っているのだ マが出ますよ後から追いかけながら僕は そう言った京助さんは気を つつけるとだけ 答えるここさんも車から降りたがポツンと 立ってこちらを見ているだけだおいしげる 草をかき分けて進んでいると急に寒気に 襲われるこれか京介さんが反応したものが 分かった気がした 見えたわけではなく感じたの だろうなんだこれは草が切れて少し広い 場所に出たがそこには大きな石が横たわっ ていた自然席というには少し妙だったこの 村に来るまでに見た川にゴロゴロと転がっ ていたような大きな石が不に山中に現れた のだ誰かがここまで持ってきておいたよう な作意を感じ た大きな石を運ぶなんてかなりの人数じゃ ないと無理だ一体この石は何だろうと思い ながら石の周囲を眺めていると京介さんが 墓だと言った墓何の墓だ破壊しにしても 大きい大きすぎるしかも解明も何もない ただの横たわっている石なのだしかし確か にそう言われると墓であるということが しっくり来るような気がするのだった あ思い出した昔そに聞かされたことがあっ たひょっとしてこれ は奴らをの墓かもしれません奴らを8つの つのオと書く化け物ですよ確か蛇神の一種 だったかと祖母は教えてくれたこの村の 山中にはやらの墓がたくさんあるとどの墓 も大きくそして大きい墓ほど恐ろしいやら が眠っていると奴らをね京介さんは石を 撫でようとし たちょっと待って くださいとっさにそう言うと京介さんは びくりとして手を止めた祖母は言っていた 奴らをの墓に出くわしても手を合わせたり

祈ったりしてはダメだと 起きてくるからと京介さんにそう説明する と気持ち悪そうな顔をした後戻るかと言っ た得体の知れない寒気を背中に感じながら 2人で元きた道を戻っ た好きよね 本当戻ってきた俺たちにここさんがぼそり と言った場の近くの商店でアイスを買った 後トボがやたら飛んでことにここさんが 喜び指を点に立ててそこに泊まらせようと やきになっていた黄緑色なので銀やま だろうか3人並んで指を立てていたが結局 1匹も止まってはくれなかったそうして しばらく遊んだ後叔父の家に帰った日が 暮れかけていた置いて行かれた師匠がむれ ているかと思いきや叔父の家では師匠を 中心に将棋大会が盛大に開かれてい た強いなこの兄ちゃん 近所のおっさんが縁側にじんどって師匠と 盤面に体しているそれを叔父や近くの集落 の大人たちが取り囲んで見ていた聞くと目 が覚めた後置いて行かれたことを知って腹 を立てていたが暇つぶしに叔父に誘われて 将棋を始めたら気がつくとこうなっていた そうだどうやら娯楽のないこの村では将棋 がオールタイムベスト9の遊びらしく みんな嗜んでいるのだがサスメンバーも 毎回同じであり強い弱いのヒエラルキーが 完全に出来上がっていたそこに外から思い の他強い差し手が現れたことによって 大騒ぎになったようだああ負けたおっさん が悲しげな声をあげたそれを受けて誰かが 土地の木の作次郎さんを呼んでこにゃとと いいいやここはわしがもう1番などと言っ てわいわいと騒いでいるその輪の中で師匠 が何とも言えない疲れた表情を浮かべて こちらにSOSサインを送ってきていた 勝ちすぎてやめるにやめられなくなって いる らしい頑張ってと両手の拳を胸の前で握る サインを送り俺たちは自分の部屋に 逃げ込んだ結局その騒ぎは晩の時過ぎまで 続きうちはもう晩御飯だからととうと怒っ た尾の一言で雲の子を散らすようにみんな 退散していった遅い晩御飯をまたあの 大きな茶台を囲んで食べ終わるとフラフラ と自分の部屋に戻ろうとする師匠を押し とめてさっき商店で買い込んできた花火を やりに庭に出た打ち上げ花火は迷惑だろう と思って手で持つタイプの花火ばかりを 買ったぐらしがまだひっそりと泣いている 夜の闇の中で赤や緑の綺麗な火花を見つめ ていると何とも言えないノスタルジックな 気持ちに浸ることができた白い煙の向こう にノースリーブのTシャツに着替えた京介

さんがいてその横ではワンピース姿のココ さんが先行花火のパチパチとはぜる玉を 奪おうとして近づき逆に自分の分を取られ て悲しんでいる午前中になんだか気持ちの 悪いことが続いてすっかり気分が重くなっ ていたが穏やかなうちにこの田舎暮らしも 追われそうだった俺たちの花火を縁側で見 ていた叔父夫婦に明日帰ろうと思いますと 告るまだいいのにと引き止められたが京介 さんのことを考えると明日が限界だった 彼女は多分眠っていない自分の部屋でしか 眠れない体なのだれ と本人は言っていたが今夜で2日徹夜する ことになるもうドクターストップだったで も楽しそうで良かった師匠に背後から スニーカーへの花火攻撃を食らい反撃の ため3つ同時に手持ち花火に火をつけて 追いかけ回し始めたのを見ながらそう思っ た何時だろう目が覚めて高い天井を ぼんやりと見ていた部屋の柱時計の音が 規則正しく聞こえてくるトイレではなさ そうだ俺は自分が目覚めた理由を考えた そうだ何か音を聞いたような気がする むくりと起きる隣の布団を見るとまた昨日 と同じように師匠がいなかった少し嫌な 予感がしたまたバイクの音を聞いたの だろうか腕時計を見ると深夜に半すぎだっ たいや違う気がする立ち上がり縁側の方へ 行ってみる昨日は京介さんがそこで座って タバコを吸っていたが今日はその姿もない キョロキョロとした後縁側の外にサンダル があったのでそれを履いて庭に降りた花火 の棒がいくつも刺さったままのバケツの横 を通り嫌に静かな夜の空気に耳を済ませる 家を外から眺めるがみんな寝静まっていて 明りは見えなかった足音をしばせて玄関の 方に回ってみるが師匠も京介さんの姿も なかった今度は逆に敷地の奥の方へ回って みると垣根の中に腰の高さほどの気戸が あった行ったことはないがこの向こうは 確か実際が暮らす離れがあるはずだそっと 起動をしてその先へ進む虫の声がカカに 聞こえてくる突きあかりに目を凝らし ながらゆっくりと進んでいくと垣根の 向こうに平屋の建物が見えてきたぞくりと したなんだあれは離れのその中庭に白い袴 を着た人物がいたその人物がくるくると その場で縁をかくように歩いて回っている 頭には冠から髪を咲いたようなものが無数 に垂れていて顔が追い隠されている くるくると体が回る度その髪が揺れて一瞬 その向こうの顔が見えたその瞬間鳥肌が 立った真っ黒で巨大な頭をしたまるで鬼の ような顔が確かに覗いたのだ思わず 後ずさり自分のサンダルが石を噛んで砂利

という音を立てるのを聞いたぎくりとした が袴の人物はこちらを見ることもなくその まましばらくくるくると回っていたやがて 立ち止まり持っていた紐いやもっと太い術 のようなものを両手でまさっていたかと 思うと1つ2つと大きく頷き離れの玄関の 方へ歩き始めた引き戸がらりと明けその姿 が建物の中に消える俺は今見たものが何な のか分からずその場で立ち尽くしていたが 不にどこからともなく声をかけられて 飛び上がりそうになっ たこっちだそう聞こえた方へ目をやると柿 と建物の間の暗がりの中に誰かがいて こちらを手招きしているドキドキしながら 目を凝らすと師匠だった恐る恐る近づいて いくとその後ろには京介さんもい たなんなんですかあれは小声でそう聞くと 話に聞いて 実だろうと師匠が返事を するほとんどネタきりみたいなことを言っ てたのに元気じゃないか妙な物音がする から目が覚めてここへ来てみたらあの 不気味な顔の人物がいたというのだ俺の 少し前に目が覚めたらしい京介さんの方は 昨日と同じように起きていて庭でタバコを 吸っていたらやはり物音に気づいて様子を 伺いにたということだっ た多雨の格好だ実際は多雨をしていたんだ なだけどなんだあの仮面は仮面そうかあれ は仮面かそう言われれば見たことがあった 近くの神社でお祭りをした時誰かがかぶっ ていた気がするだがあんな恐ろしい仮面 だっただろう か しさんが口に手を当てる思わず耳を済ます と離れの中から人の声が聞こえてきた唸っ ているような不気味な声だったそろそろと 建物に近づき耳をそば 立てるきをかしごを蹴り割り千花を逆さ ごいごい口なしかしごを先千花逆さんごい ごい巻かしごをかわ千花を逆さごい ごい投げかしごを立ち千花を逆さんごい ごいなんだこの歌はゾワゾワと締めつけ られるようなお冠がするその おどろおどろしい言葉の響きに耳を塞ぎ たくなる多事じゃないぞこれはそう直す 神を祝い祭り裾取り分け払い 封じるそんな呪文ではないそれが分かるの だ今までに聞いたことのない悪意を 感じる昔昔祖母に聞かされた話が唐突に ノりに蘇ったうしを打つたユもる一体 どんなことを聞かされたのかもはや覚えて いないがそのうしという言葉の響きが まざまざと蘇ったのだ式を打つこともある そうですね式王子のことか生繁華に言葉

ばかり同時に師匠と幸夫先生との会話を 思い出したそうだ式だイナ流には唱えごの 先に式王子という呪術があるのだ自然発生 的に生まれる裾とは異なり意図して人が人 に災いをなすための因縁長物という呪いが 存在するそれをなすのが式王子の中野法裏 敷だそうだ間違いない左右の中でも強く戒 しめられるはずのはずべき技だ師匠が犬神 の兵がないのはどうしてですかと聞いた時 先生は視線をそらしたそれは古くは樹権道 を外する邪悪な受法犬神の方をなすのは多 にかならないからではないか裏としてだ そしてその効果を最大限に発揮させるため 呪いを払えないようあえて兵を伝えてい ないのではないだろうかそこまで考えて はっとするユだゆは裏山の大杉の根元に 埋められた実際によって生きていた生きて いたのに埋められたそれではまるで犬がを 作るため のおかしいぞ俺が悲鳴をあげて逃げ出し そうになった瞬間師匠がぼそりと言っ た順序が おかしいそう言って額に手を当てている 京介さんと俺は2人してその様子を まじまじと見ているといきなり師匠が動い た 失礼大声でそう言って玄関の引き戸を 開け放ったのだ 建物の中からの声がぴたりと止まるあまり に驚いて思わず硬直したそんな俺を置いて さっさと師匠は建物へ入っていった武法を 承知で失礼します先日よりこちらでお世話 になっているものですあなたは今誰に裏を 返そうとしたのですか裏を 返す室内から聞こえてくる師匠のこと言葉 の意味が分からずその場にただ立ち尽くし ていたが京介さんに肩を叩か れる来いそう言って無理やり引き戸の中に 引っ張りこまれた狭い室内には色取り取り の様々な道具が鈴なりになっていて低い 天井を覆うようにシナがぐるりと貼られて いるシナには白い紙で切り出された人形が いぺ当たり3つ全部で12体飾られていた その中に鬼のような仮面の人物が座ってい て師匠と体してい た知らぬ仮面の人物はしゃがれた声で返事 をしたがその声はうえたように震えてい たいや文献で呼んだことがありますかしの 風ですね師匠は一歩踏み出して 尋ねるかしの風だって師匠の言葉にピとる ものがあったそれはこちらに向けて打たれ た式王子を相手に返す呪報のことではない かあなたは実際ですね今の歌は呪いの言葉 である裏敷の呪文を逆から読んだ逆さ蘇し だそうでしょう境口なしおまき石投げ

季節の順番が逆だ夏から春へ向かっている これは相手を呪ううしではなくそれを 跳ね返すかしの風なんだ師匠はそう まくし立てると仮面の人物に詰め寄っ た誰なんです裏敷を仕掛けてきているの はその人物はうめいたかと思うと仮面を 自らの手で外し唾を飛ばし たもつれた 勇者仮面の下は男それも歳を超えているで あろう老人だったどこか祖母のおかがある やはり祖母の兄だという実なの だろう己れの神の神が呼ばわっておる実は そう言って師匠の頭を手に持った棒のよう なもので叩いた不を疲れた師匠はそれを まともに食らってひるん だよせ京介さんが2人の間に割って入る 一て師匠は殴られた頭を手で押え血が出て いないか確かめて いる 恐ろしい 恐ろしい実際はそう言って頭を抱えた返せ ぬ返せぬそう言って震える手で前方にあっ た鏡を指さした大きな鏡が柱に立てかける ようにして置かれていたのだがそこに変な ものがっいた師匠と実京介さんと俺その4 人のちょうど真ん中に赤ちゃんがいるのだ いやよく見るとそれは紙でできている神で できた 赤ん坊なのに血が通ったような結しをして いるその赤ん坊がでこぼこした顔をこちら に向けてはいずりながら近づいてきている ぎょっとして部屋の中を見たが赤ん坊など いないしかし鏡の中にはいるそれも徐々に 近づいてきている人をもしているが人では ないものひどくおぞましかった顔が近づい て鏡に 触れるそう思った瞬間京介さんが実際から 取り上げた棒で表面をついたバリンという 音がして鏡は割れ柱にぶつかって裏向きに 倒れた次の瞬間ええという声がして鏡が 起き上がろうとした鏡が起き上がろうとし たのだ今度は師匠がそれを 踏んづけるそしてどうしようという表情で そのまま 固まるこっちを見られてもどうしようも ないカタカタと師匠の足の下で鏡が揺れて いる俺は目の前で起こる信じがい出来事に 膝が笑ってまともに立てないような状態 だった見ろ京介さんが棒を振り上げしめ縄 の一辺に向けた師匠と俺の視線もそちらに 向く見るとしめ縄に飾られた神人形の1つ がかすかに動いている顔だ神人形の頭の 部分には目と口をもした穴が開けられてい てその口が石を持ったようにパクパクと 動いてい

たようやくとっくりと見 やはり大した見神を持っておる神人形の 口元がそう動いている独身術などできない のに直接頭の中に言葉が入ってくる機械な 現象だった誰も動けない神人形だけが笑う ように喋っているまだ起きておらんもう 少し手順がいるかそこで人は口を閉じた 死んだなぜかそう思ったさっきまで疑似的 な命を持っていたものからその命が 抜け落ちたような気がしたのだ次の瞬間戸 が開く音がしたぎくりとしてそちらを見る ねえみんな こっちここさんが恐る恐るこちらに顔を 覗かせてい た消えた師匠が鏡から足ををどかせる しかし鏡はびくりとも動かなかった実際は 頭を抱えたまま怯えたようなうめき声を あげ続けている京介さんは青白い顔をして 棒を床に放り投げ たもつれた言って何です神の神 って師匠がそう聞いても実際は答えず いきなり顔をあげたかと思うといねとはめ て師匠の体を いねそう繰り返しながらうを言わせず俺 たちを玄関へ追いやった離れから追い出さ れた俺たちの後ろで引き戸が乱暴に閉め られる俺はさっき起きたことに対する恐怖 心がまだ去っておらずバクバクとしている 胸を抑えながらどうしましょうと師匠に 問いかけた何か恐ろしいものに狙われて いるということだけは分かったのにそれが 何なのかわからない川へ向かう途中の四に 埋まっていた何か雪夫先生の家へ向う途中 に陥った緑の迷宮のような 現象それらも全て同じものが関わっている ということだけは感じられた何か人地を 超えた恐ろしい存在がそしておそらく狙わ れているのは師匠だ実際はそう言ったの だし 師匠はそう言って周囲の気配に神経を集中 する当たりはまだ深夜の闇の中で遠くから 脇のサラサラと流れる音が聞こえていた何 に狙われているのか分からない以上対処法 がない逃げるべきなのかもしれないが山の 中のことこんな夜中にどこへも行きようが ない追い詰められたような感じがして息が 苦しかった新たに何かそうな気配がない ことを確認した後師匠の提案で自分たちの 部屋に戻ることにしたとりあえず眠り朝 まで待つのだそうして4人で思に戻り師匠 と俺の部屋にここさんの布団を持ってきて 3人並んでとに着いた部屋の外では京介 さんが起きて いるどうせ寝られないしと言って見張を 引き受けてくれたのだこれで2目にという

寝不足に加え信じられないようなことが 起こって相当に疲労しているのは明らか だったが師匠は頼むと言って眠りについて しまった青白い顔で京介さんは頷き襖を 閉めた1人にこれほど負担をしるのは心が とめたが師匠の無常に見えるその言動の裏 にあは任せろという言葉を聞いた気がして 黙って従った明日一体何が起こるのだろう かよくわからないけどお やみここさんだけは妙にの天気な声でびを して布団をかぶっ た第3章巫女神を食らう もの おはよう雪夫の声に目を覚ました思わず 夕べの続きのように瞬間に臨戦体に入っ た寝起きええにゃすぐに起き上がっ俺を 感心したように見て雪夫は笑った見回すと 師匠の布団はもうからだここさんもだった 起こしてくれてもいいのにそう思いながら 雪夫に行っ たみんなは散歩かな雪夫はそう言いながら 1つの部屋に並ぶ3つの布団を眺め たこれどういう 状況何か変な想像でもしたのか妙な表情に なっている俺はそれに構わず部屋を出て さらに縁側から外へと出た離れの方で人の 気配がしていたのでそちらに向かう外は いい天気だった雲が1つ2つと浮かんで いる今日は昨日の続きのはずなのに朝日の 中にいるせいかあの恐ろしい体験が幻だっ たように現実感がない事実夢か幻だったの ではないかそんなことを思いながら起動を して垣根の向こうへ抜けた離れは咲夜と 同じように底にありそこに師匠と京介さん そしてここさんが集まっていた師匠は部屋 の中に向かって何か声をかけていたが拉致 が開かないというジェスチャーをしながら 俺の方を見た おはようおはようござい ます近づきながら どうしたんですと 問いかけるだめだ入れてくれ ない師匠はそう言って引き戸に手をかける がガタガタと揺れるだけで開かなかった中 から開かないように棒を当てられている らしい窓も同じでアを閉められその向こう で実際の目らしきものが覗いているがその 前に手が伸びてきてししっばかりに 追い払うような仕草をしている 本人は大丈夫そうだけどだめだなこれは 師匠はため息をついてドンととを叩いた 京介さんは両手を胸の前で組んで何も言わ ない目元を見ると赤くなっていた徹夜3日 目に突入したのだ痛々しいような状態だっ たその横でここさんはたっぷり寝ている

はずなのにあびを繰り返して いるみんなどうしたが幸夫が垣根を抜けて こちらにやってきたなぜか気まずくてなん でもないととっさに返してしまったなあ この離れに住んでるの実際 だろうそうだよいなかった師匠に聞かれて 幸夫は呑気にそう 答えるイザナ龍の左右をしていたのかな うんまそうじゃ けんど初日の夕飯の最中イザナ竜のことを 知りたいという話題になった時この家の誰 もそんなことを言わなかったではないか それどころか実際はほとんどネタきりだ みたいなことを聞かされたこのことから 導き出されるの はちょっと最近ボケがき中みたいでね言い づらそうに雪夫は顔を描いたやはりそうか かわけのわからないことを言っていたのは そのせいなのかそう思ったところで待てよ と思うあの鏡の中の紙でできた赤ん坊や 動く神人形はどうなるんだ全員で幻を見た というのか師匠の方を見たが何か考え込ん でいるような様子だっ た朝ご飯食べんか ねの声が屋の方から響いてきた みんな顔を見合わせ草と離れの敷地から 出る叔父夫婦と俺たち4人そして雪夫と 初子さんの8人で食卓を囲み焼き鮭と川 のりと卵焼きという献立の朝ご飯を食べた 聞くと午前中用事が歩き昼過ぎやったら 送っていっちゃおそれまでゆっっくりし よりや叔父のその提案を聞いて俺たちは 揃って師匠を見たんだかよくわからないが 気持ちの悪いことが起きているのだ早く 退散するに越したことはない気がする町 までの運転手なら雪を抱っている今日は 土曜日だ本人もそのつもりで来てくれたの ではないだろうかしかし師匠はお願いし ますと言って叔父に頭を下げたその隣で ここさんは私の焼きが1つ 少ないと言ってむれている何が起きている か分かっているのだろうかここさんは ネズミが取ったんじゃないのとからかう雪 をの皿から卵焼きを人かけら奪って食べた 京介さんはその騒動にも無反応でただ黙々 と橋を動かしていた相当しんどそうだった やっぱりすぐに帰った方がいいのではは ないだろうかそう思って師匠を見たが同じ ように無言で焼き鮭に橋を伸ばしている みんな本当に何が起こっているのか分かっ ているのだろうか並べられた朝ご飯は7人 分茶台には8人そのうち俺たちと一緒に 食卓を囲んでいる初子さんは神出できてい た初子さんによく似た等身台の神人が でこぼこしたの前でやはり紙でできた橋を

動かしているそちらを見ないようにしてい たが視界の橋に入るたに食べているものを 吐き出してしまいそうになるお夫婦と雪鬼 は見えていないか全く反応はないだから こそ俺は叫び出せないでいたなんだこれは 昨日の悪夢の続きが唐突に始まっていた 師匠たちは気づいているのか空間が ぐにゃぐにゃと曲がるような錯覚に陥り ながら俺は朝ご飯を書き込ん だご馳走様みんなほぼ同時に食べ終わり橋 を置いて手を合わせて席を立つ叔父夫婦は 台所の方へそして俺たち仲間4人と雪夫は 庭の方へ向かった神でできた初子さんも 台所へ行こうか一瞬迷仕草をした後少し 遅れて庭の方へとやってきた 先生から言われたがよもう1回連れてくる よう にって庭に出てから雪夫がそう切り出した どうしてだよくわかんらんがやけどこの ままじゃやばいとかなんとか歩きながら 師匠はそれを聞いてまた質問を 投げかける実際が黒い仮面を持ってた知っ てるああじじ面かな 12のひ子のじじ面12のひ子って何だっ けなんかよくわからんけどそういうなイザ 流にまつわる面なんだなそううちの集落に もあるよ鬼みたいな面がまあ守り神みたい な麺やにゃこのうちには実が持ってきた じじ麺とババー麺がるはず本当は神社とか に祭った方がいいんじゃろうけど実が障 大事に手放さん らしい守り神か昨日はまるで祟りをなす ものであるかのように禍々しく見えたが じわじわと後ろからついてくる神の初子 さんの気配を背中に感じながら玄関の方へ 歩く師匠たちは本当に気づいているのか俺 がなんとかしないといけのだろうかすみ ませんまた車借り ます師匠が家の方に声をあげるええよ鍵は つい 中期と返事が帰って くるもう行くじゃあ俺またバイクで先導 するき雪はそう言って走り出した俺たちも また叔父の車に 乗り込む運転席には匠女子席に俺神部座席 にはここさんと京介さん初子さんの席は ないそれでも閉じられたドアに向かって髪 の手を伸ばしてくるいきなり京介さんが手 を外に伸ばしたかと思うと手のひらに魔法 のようにライターを取り出したそして初子 さんに火をつけたのだ一瞬の出来事だった 神でできた初子さんは燃え上がりその場に れ落ちたドス黒い煙が上がってやがてそれ も薄れていった後には燃えかすだけが残っ た車を発信させながら師匠は言っ

たこれはこのままじゃ帰れないな俺はこの 村へ来る時に原始した無数の顔のことを 思い出した道路ブに様々な顔が浮かんでい てそのどれもがまるで帰れと言っている ようだった 今度はそれが別の言葉を一斉に語りかけて くる返さない返さない返さない頭を振って 我に帰る我に帰って吠え たなんですか今のは白中に神でできた人間 が歩いていた現実感のない異常な出来事に 今自分が本当に目覚めているのか疑わしく なる思いきり法をつねったが痛みはリアル だっ た うるさい京介さんに怒られ た頭に 響くとにかくこれは人間の仕業だと師匠は 言っ た誰が仕掛けているのか分からないとどう しようもないわざわざ呼びつけ るってことは雪夫の先生が何か教えて くれる だろそうだ今はそれにかけるしかない雪夫 のバイクに先導され昨日と同じ道を通って 山の奥へと向かった舗装がボコボコになり 斜面から崩れてきた岩のかけらが散らばっ ている道路をひたすらに進む美味しげる子 の間の道をくねくねと曲がるた同じ景色が もう一度やってきたように思えてぞりと するけれど山道から出られなくなるという 機能の海現象の再現は怒らず雪夫のバイク も見失わないまま先生の家に到着した山の 中腹にある一軒屋で近くに他の家は 見当たらないただでさえ秘境のような田舎 なのにその中でも特に返品な場所だった 昨日と同じように広い庭に庭鶏が数は垣根 の中でうろうろしている大きな木が2階 建ての日本かに寄り添うように伸びていて なかなか風格のある佇まいだった幸夫が バイクを置いた庭の隅に並べて車を止めた 車から降りた4人と雪を合わせて5人で 玄関の前に立つ外から声をかけると入り なさいという返事があっ たお邪魔します玄関で靴を抜いでいると 雪夫の先生が厳しい顔をしてやってきた そして何も言わず昨日と同じ客前へ案内さ れた テーブルを囲むように配置された座布団の 上にそれぞれ腰を下ろす師匠が口を開こう としたがその戦を制して先生が言っ たうちのは実家に出払っている茶 だせそうして背筋を伸ばしたまま腕を組み 俺たちの顔を1人1人睨むように眺め た雪お前は いね急にそう言われたはた顔をしたしかし

3回ほど頷いて送ってきたばや用事もあっ たしほいたら帰るわそう言って下ろした ばかりの腰をあげた先生の険しい顔特徴に 戸惑った様子だっ たじゃと言って部屋を出ていく雪を見送っ た後俺たち世人と先生は視線をかわした やがて先生は師匠の顔をじっとたまま口を 開い た厄介なことになったようだなご忠国通り すぐにいななかったからですかね師匠は この後にを呼んでまだ軽口を叩いて いる昨日から山が騒ぎ言う先生は窓の方に 目をやる釣られて俺もそちらを見るが正時 はしまったままで外の明りを感じられる だけだったただそのおしい口調にさっき までの浮き足だっていた心が少し落ち着い た気がした先生は山が騒いでいると言って いたが当たりは嫌に静かだった物音がし ない山深い土地の最奥に取り残されその まま世界に忘れ去られていくような気が するお聞きしたいことがいくつかあるの ですが師匠がそう言うと先生は深く頷く それから師匠は初日にあった四に埋まって いた何かのことから始まり今朝までに起き たことを順に説明していった先生はじっと 聞いていたが実際の離れで起きた現象の 下りになったところで急に立ち上がり戸棚 から縄を取り出して部屋の休みを覆うよう に張り巡らせ始めた結界だ京介さんが 手伝おうと立ち上がりかけたが座っておと 言われるここさんは退屈そうな顔のまま やり取りを聞いているのかどうかもよく わからない様子だっ たそれで作業をしながら先生に促され師匠 は事情を説明し終えた先生はびたりと自分 の顔を手のひらで叩くとそのままほを しごくような仕草をしてため息をついた その様子を見ながら師匠は言っ た正直信じられませんイナ龍がいかに古い 音葉動などの作法を今に伝えていたとして もこんな風に現実的な現象を次々に起こす なんて俺は思ったそうだこの村がいくら 辺境にあろうが年太とも道路でつがって いる実の世界のなのだ生きたまま意に 迷い込んだわけではないはずだそれなのに こんな信じられないことが立て続けに 起こる なんて年よりはよい昔の多重は偉かったと 先生は10回するように師匠に答え たしめにしても当にしても今の多より ずっと偉かった時代が変わったのだ裾は なぜ 生まれるネタ む 裏

肉体何よりたらぬから里から離れたこんな 土地だ人は 担えるそのためなら他人のものでも奪う そしてその悪意から身を守ろうとする犬神 の兵がないのはなぜだと聞き寄ったな犬神 は人が他人を妬み羨む気持ちを読み取って 勝手にたる獣物だ一度術がなればもはや 本人にも滑ること叶わぬ家に筋としてつき 女子が生まれれば7匹増える嫁入りすれば その家にもつく兵は返せぬ時に封じるため のものだ犬神のごとき下品な術は多重なら ば 返す容易に返せぬほどの触りがいかに多い か兵の数を見れば分かろう かつての多は日々生まれる無数の裾とそれ とも釣れた魔物や神の眷属たちを沈め払い 封じてきた今は時代が違うこんな山の年 よりにも年金は払われるみニコニコして おる担えることはない多重も必要とされ なく なる見よ先生は部屋の司法を加工しめ縄を 指さすいやその締なについている神工を それは人をもした人形だったさんの部屋で 見たものとよく似ているこの兵は12の 日子という左右を表すものだかつてや島の ような大きな多ごとには12人の多重が 必要とされた今では土地に人も減り裾も 減り多も減り12人もの多重が揃うことは もはやないそのたらぬの代わりなの だ12の ひ師匠をかげた俺もその言葉には聞き覚え があった確か幸夫が実際の仮面のことを そう呼んでい た昔の多には今とは比べ物にならぬほどの 力があったことなる集落の多同士が原理を 比べ合うようなことになれば式王子を 打ち合い大岩を砕き日の玉をふらせペンチ も格という力を出したと伝えられてきて おる先生は庭の方向の表示をちらりと見た 今では土木作業に葉っぱを火薬を使う かつては田遊がになってきたことだ原理で 岩を動かすのだそれどころか山屋と呼ば れる方もあったそうな 山屋と繰り返した師匠に先生は言っ た山をつやすつまり山を崩す法術だ それを聞いてあまりのスケールにア然と する恐ろしい力 だしかしそれは伝承の中にしか存在しない 過去の多の力でしょう今起こっていること は何なの です師匠の問いかけに先生はまた深く ため息をついたしばしの間沈黙が 訪れる俺は師匠と先生のやり取りを息を 飲んで見つめている 京介さんも同じように何も言わずただ

じっとやり取りを眺めていたここさんは相 変わらず退屈そうな表情でザブトンのほれ をいじっているその沈黙の中俺はある違和 感を覚えたさっきからのしけさに何か 不思議な感じがしたのだそのしけさ自体が 気持ち悪いのではなくなんと言ったらいい のか何か見落としているような気がするの だ何なのだろうこれは一体俺のその思考を 先生の言葉が 遮るとめさんはかつては良いたじゃった 実際のことですかと師匠が確認する先生は 頷いた占いが得意でくじやフ裏などでは なく今はほとんど耐えてしまったさを使う 人じゃったくじというのは術を使った占い のことのはずだ割と一般的で俺も見たこと がある何かを占いたい時その足や秘を握っ た手玉の数の奇数偶数で判別するのだ あずさというのは聞いたことがなかったが おそらく弓を使った占いなの だろうだが左右は本来跳ねるものだ占いは 受けるもの多はあまりに受けては続けられ ぬ先生のまぶが重く 下がる弟子が受けてしまうようなら死が多 をやめさすとめきさんの多重の許しは祖父 のずさんが与えたのが最初じゃったそうだ があずさを覚えたのは年を取ってから じゃった許しというのは聞いたことがあり ます死が弟死に多の名乗りを許すことです ねそうだ多は複数の死につくことが認め られ 病人当が得意なもの家当が得意なもの 取り分けの得意なもの多も様々じき許しは それぞれにもらうときさんが裾を受けて しまうようになった時やめさせるしはもう この世におらんかった今はもう多事はでき ん じゃろう俺は幸夫が実のことをボケが中 みたいでねと言っていたことを思い出した それも受けることが旅重なったせいなの だろう か死につくということはただ左方や術を 習うということではないもちろん細分を 受け継ぐこともあるが死につくということ の本当の意味はしの御神を受け継ぐという ことじゃ 巫女神その言葉を聞いて少し緊張した やはり大した見神を持っておるあの実際の 部屋で神人用多をもした12の日子がそう 喋っていた巫女神とは一体何だそしてあの 言葉は明らかに師匠に向けられていた俺は そっと師匠の顔を伺う師匠は神人形のその 言葉をもう一度先生に繰り返し た巫女神とは守護霊やソ心という意味です か少し違うな祖が孫や身内を見守って くれるというものとは違う巫女神は迎える

ものだ 迎える例えば家の主人が死んだ後墓に葬ら れている間霊和しで汚れている年月が経ち ふさわしい時期にその霊を墓から起こす これが荒人神だまり尽しの汚れを落とす ため取り上げ神楽で祝うこれで荒み小神と なるさらに数年を経て迎え神楽を催しそう して初めて巫女神となるの だ先生は手の中に術を握り込みで目を 閉じる多と言えど人は人本来魔物や神々の 眷属と対等に渡り合えるはずもない多は 巫女神の力を借りて祈るのだ神となった かつての人の力を借りて力のある人ほど力 のある巫女神となる死んだ多はとても力の ある巫女神となるがじゃ触っておる魔物が おれば奥の山の血三郎を連れてくるぞと 脅す魔物大治の得意だった多重は死ても 魔物を跳ねる力の強い巫女神と なるちちという音がして先生の手の中で術 が動く指で玉を数えているようだっ た多は死んだしみ小神として迎え多ごとに その力を借りるやがて弟子を取り己れが しした時にはまた小神として弟子に力を 貸すそうして連綿と受け継いできた多重の 軽風が時代の左右を守る1人の多重の後ろ には多くの多神小神となってつきそうもの だ俺は目をこすったおに語る先生の背後に 影郎のようなものを見た気がしたからだ 錯覚かそれと も酔いたゆは死の家に挨拶に行くことを さん複数の死を持つものは酒を持って家々 を回るただの付け届けではない死を守る 仙台千仙台のみ小神たちに酒を捧げるため なのだ最も飲むのはしじゃがな自分の成果 にも回る母のか母の母の実家先祖の墓 ゆかりの神社地元の祭りこの地の様々な 巫女神に力を貸してもらうためわらじを すり減らして歩くのだでもちょっと待って くださいじっと聞いていた師匠がそこで口 を挟ん だ巫女神というのがただの守護霊的な概念 ではないということは分かりましたが僕が 言われたやはり大した巫女神を持っておる という言葉は変ではないですかちと術を 送る音が止まった先生は深いシを眉間に 寄せゆっくりと目を開い た僕に守護霊がついているにしてもそれは 取り上げとか迎えとかそういうイザナ流の 正しい手順を踏んだ巫女神ではないはず です師匠の言葉に俺は頷いたその通りだと 思うそうだ巫女神ではないものを巫女神と 呼んでおるからこそ恐ろしいのだ先生は術 を俺たちの前に かざしはだオと出たと続け たただではすまんぞわしでも

恐ろしいそう言ってまた外を見た少し生子 が暗くなっている日がかってきたよう だわしらは子供の自分から見知らぬ墓や石 を拝むなと教えられてきたこの世にはや よろずの神がわしまししその眷属や魔物獣 悪霊目に見えぬ無数の存在が満ちておる人 に悪い影響を与えるものも多い見てぐに 封じた裾は消えておらぬ山に埋め石で蓋を したぐのその石をそれと知らずに手を 合わせればなんとなる起きてくるぞ起きて くるぞ裾がより所を求めてすがりついて くるぞ作りとして思わず身をすめた先生の 喋り方がまるで子供を脅す時のような体内 怖色だったにも関わらずとても恐ろしく 感じ た川すれ山すれのまいつく岩に祈ればなん とする知らず長の祠を拝めどうじゃたれた 則の埋まる久保に一夜を過ごすか人のレス ら祝って祝ってようやっとと見神となすの だ汚れたものにすがってはならん分からぬ ものに頼んではならん祈ってはならん俺は それを聞いて奴らの墓を思い出した祖母が 言っていたことと同じだ祈れば起きてくる と一緒に奴らをの墓へ行った京介さんを ちらりと見たが寝ているわけでもなさそう だったがいつの間にか目を閉じていた目を 閉じて静かに呼吸をしていたまるで最後の 力を蓄えているかのようだっ た多雨になってからも死にきつく言われる 巫女神に祈るのは大事だが由来の分からぬ 祠や墓野どに祈ってはならんともつれる からだもつれる 聞いたぞその言葉 は 実際ときさんは言っていました僕らに呪い を仕掛けているのはもつれたゆだと師匠が すぐ様 問いかける多重の中にはおるのだ力をつけ たいあまり勇しある巫女神だけではなく 山屋の心眷属悪業魔物にまで祈るものが そうなればもつれてもつれてもはや助から ぬあき下道となるほかないもつれるとは けれた存在が人にまとわりついた状態の ことを指すのだろうかそれも複雑に 絡みつき外すこともできない状態のこと を古来よりも多の力は落ちた今の多が見神 となっても昔の偉いのそれとは地合中わし のかつてのが言事をする時にその背後に 感じた大きな力は今のわしにはない巫女神 となったしよりも死のしの方が強いという ことじゃろうわしも弟子はおるがどれほど 力をかせるかわからぬだがもつれた多に まといてくものはどれほど古くどれほど 恐ろしいものなのか想像もつかん起こして はならぬものまで起こしたもつれた言う

ならば何をなしてもおかしはない また先生が正時に目をやったずんと当たり が暗くなった気がしたいや錯覚ではない 本当に暗くなっている師匠とこさんも異変 に気づきぎょっとして外を見 たなんだ師匠が立ち上がり窓の方へ 駆け寄ると正を開け放ったかという音がし て縁側の外の光景が目に 入る霧だ師匠が呆然と つぶやく庭の向こうには恋切が立ち込めて いたまだ生後にもなっていない時刻だと いうのにさっきまでの晴天が嘘のように 一変していた山の天候は変わりやすいと いうがこんなに急に分厚い霧が出るものな のだろうか太陽の光はさえぎられ雨の日の ように視界が暗い見たこともないような ノムだった 嘘今までどこか他人ごとのようだったココ さんが初めて怯えた表情を見せた庭の隅に 止めた叔父の車が目を凝らさないと見え ないほどだった俺も目の前の事態に足が すむそのもつれたゆは一体何をしようと いうんですか実際は己れの神の神が呼ば わったのだと言っていまし たの神とは何ですか師匠の言葉にも焦りが 見える神の神とは神の頭の神とか巫女神 などのその人の後ろにいる存在のことだ 要するに僕に取りついている霊ってこと ですか御神と呼んだのであろうそれがその もつれた言は起こしてはならぬ資料焼心 魔物まで巫女神と呼んでくらおうとしての だ師匠に取り付いている霊だとそういえば 俺はこれほど近くにいたのに今までその 気配を感じたことはなかった師匠と守護霊 の話などもしたことはなかっ た僕についている霊を取り込もうとしてい るってことか師匠は頭をカリカリと書いた くれてやるかと先生が尋ねた師匠は睨む ように行った嫌だ と僕に何がついてるのか知らないけど そんな変人にあげたくない変人か こんばんはふいに庭の方から女性の声がし た先生の奥さんが来たのかと思ったのも 一瞬のことだった霧の中から神でできた 人間が歩いてきたの だこんばんはこは繰り返すその声はいくつ もの人間の声が折り重なったような不気味 な声だった神でできた体はハリボテのよう にしか見えないがそれがまるで生きている かのように歩いて くるそうですねそうですねここは木根の晩 の 朝神人間はわけの分からないことを言い ながら近づいてくる声は女性のようだった が体と顔はおまいことに俺の叔父に

そっくりだった 硬直した俺のすぐ後ろを京介さんが 駆け抜け部屋の棚からはみ出ていた木刀を 掴んで身構えた獲物として目をつけていた らしいあっという間もない出来事だった そしてそのまま庭に駆け降りて神人間を 木刀で切りにした神人間はバサバサと音を 立てて無数の髪の切れ端になって中を待っ た体は消えてなくなったが声だけがその場 に残ってキキキキキという頭に響くような 笑い声を立て続けた不に肌寒さを覚えた いやもう次の瞬間には身を切るようなレキ を感じたなんだ何が起こっている京介さん は庭の向こうに立ち込めるノームに向かっ て木刀を冗談に構えたままだ家の中では俺 や師匠が部屋の真ん中に集まって身構えて いるシャレになってないシャレになって ない俺はガタガタ震えながら師匠の服の橋 を掴んでい たきったな先生が緊張した声でそう言うと 部屋の隅のタンスから木の箱を取り出した 俺たちの目の前でそれを開け中のものを 取り出す出てきたものを見てぎくりとする それは機械な面だった目は細く元は小さく 表情はない頭は低をしているようだったの で形というのかもしれないが黒い塗料が 所々はげたその姿は焼けただれた人の顔の ように見え たそれ は12のひじゃ先生は師匠にそう答えた 12のひそれは12人揃わない多の代わり に飾る兵のことではないのかいやそういえ ば雪をもそう呼んでいた実際がかぶってい たじじ面という面のこと を12のひ子は多の使う心霊じゃ麺のこと もそう呼ぶかつては集落ごとに12の面が 伝わっておった今では欠落し散逸して12 面揃っておるところは少なかろうこの山も かつては集落と呼べるものがあったが今で はこの家だけだ残っておる面もこれ1つ のみ色食面じゃ先生はそう言って面を両手 で抱え た12の日子は己れに向けられた式王子を 防ぐものだ式を食い多を 守るそう言いながらこった表情でこえる ように息を吐き出し た強い面ほど起きてこんわしもこれを被る はいつ以来 か先生はその色食面と呼んだ形の面に 向かって何事か唱えてから一息にかぶった 頭の後ろで朝の紐を結びふうと息を吐く そしてそのまま俯いたきり動かなくなった ぎゃあという恐ろしい悲鳴が上がった俺 たちは全員庭の外へ 振り向く霧の中から鶏の首が転がってきた

2つ3つ 庭のかきねの中にいた庭鶏の全ての首が 切り取られれ放り投げられたのだ京介さん が身構えながらも少しずつ後ずさりを始め た浮き足だった俺ははあはあという自分の 息遣いが嫌に大きく聞こえるのが気持ち 悪くなっ た京介危ないよここさんが声をかける師匠 は先生と呼びかけた 頭が上がらん先生は俯いたままびくとも 動かずそう答えたふざけている場合では ない本当に頭が上がらないのか面や先生に 触っていいのか分からず俺はうえた師匠も 躊躇して いるどうした京介さんが木刀を構えたまま こちらをちらりと見て聞いて くる先生 師匠がもう一度強く呼びかけたが返事は なかった気温がさらに下がり真冬のような 寒さになってきている霧もさらに濃くなっ たようだ先生抜きでこんな状況を打破 できるわけがないぞっとして血の気が 凍るだめだ1度 脱ぐ先生がようやくそう答えた生きもええ のような声だった しかしその言葉の後も先生は全く動く気配 がなかっ たまずい脱が せろ師匠がそう言って後頭部の紐に手を かけたその次の瞬間だっったいきなり先生 が顔をあげたのっぺりした僧侶のような顔 が無表情に俺たちへ向け られるこうなればさてなんと する不自然なことだったそんな不自然な 言葉が仮面の下から聞こえてきた お前師匠が絶して 後ずさる俺もすぐ隣にいたここさんをかっ て先生から離れ た多などとるに足りぬさて丸人よ巫女が 見比べと参ろう か仮面からくもった声がした瞬間部屋の中 のどこからともなくが湧いてき たうわ思わず叫んだ足元に白い小さな 生き物がまとわりついているネズミ一体 どこからそれも1匹や2匹ではない次から 次へと脇出てきて部屋の畳の上を十王無人 に走り回っている 犬神師匠がうめいてその白い生き物を 蹴り上げるじと短く泣いてそれは柱に ぶつかり群れの中に落ちたここさんが 凄まじい悲鳴をあげて師匠に抱きついた そういえば以前ネズミが怖いと言っていた のを聞いたことがあったおいおい何か覚え てないの か師匠はここさんを問い詰めるようにそう

言ったが彼女はわめくばかりでパニック 状態だった師匠はここさんの余地能力間の 力のことを言っているのだったがここでの 滞在の間彼女のそれはずっと機能してい ないようだった昨日の夜俺はここさんが ぼそりとなんで何も覚えてないん だろうと首をかしげているのを見た絶望的 な状況に俺もパニックを起こしそうに なるくそと言いながら師匠が首元から自分 の服に手を突っ込み紐のようなものを取り たここへ来る前の電車の中でちらりと見え たものだアなどと言っていたが手に掲げた その紐の先には何か尖った骨のようなもの がついていたそしてそれを握りしめたまま 白い生き物がうめく床に向かって 振り下ろす真似をしたその瞬間海が割れた そう思えるように白い生き物の軍が逃げ たおらおらと叫びながら師匠はその骨の ようなものをかざしてぐるぐると走り回っ た白い生き物は波が引くように去っていっ た現れた時と同じようにどこへともなく 消えていったのだっ たこれか狼の 牙師匠は興奮しながら俺の視線に 答えるもしもの時に犬神に聞くかなと思っ てとただの旅行だったはずなのに何を思っ てそんなものをこの人はそんなことを 言おうとしたが消え去ってはいない異物の 視線に気づいて息を 飲む口よ早計の仮面がそう言った瞬間狼の 牙は黒くなったそして師匠の手の中で ボロボロと崩れ落ちていった師匠がわと 言ってそれを 投げ捨てるまだ起か小神は師匠はここさん に抱きつかれたままじりじりと 後ずさるそして俺の方を見て逃げるぞと 言った縁側から外へ走り出た俺もそれを 追う靴を履いていないがかってなどいられ ない師匠は外にいた京介さんに車へ 走れと 叫ぶ視界の効かない霧の中4人がほぼ同時 に庭の隅に止めてあった車にたどり着いた 運転席に師匠女子席に俺後部座席に女性 2人来た時と同じ体勢で車に乗り込みすぐ にエンジンをかけるいやかけようとした エンスト師匠が焦ってもう1度エンジンを かけ直そうとする俺はその時自分のすぐ隣 の視界に違和感を覚えたなぜこれがここに あるんだぼんやりとそんなことを思った見 たものことを深く考える間も なくかかったという師匠の声に我に帰った エンジンが力強い振動を起こしサイド ブレーキを解除するライトをハイビームに して走り出そうとしたが霧の中でまた立ち 応した霧が濃すぎるハビームにしてもしか

が効かない数メート先もつかない状態だっ たこれでは下手に走ると山の斜面から 落ちるかもしれないそれを想像してぞっと する閉じ込められた閉塞感に体が締めつけ られるようだケタケタケタケタケタ ケタ霧の中からえいの知れないものの声が する一体どうなっているんだそうはめき たい衝動に狩られるいやそうはめいたのか もしれないもうわからないバックミラーに 京介さんが口元を抑えてかんでいるのが 映る眠っていない疲労に加えこの緊張感に 体が耐えられなくなったの か本当に何もわからないの か師匠が苛立って吠えるここさんが怯えた ような声 で ないと 答える くそとうめいて師匠が車を降り たどうするんですかと泣きそうな声で俺が 聞くと仮面を 奪うと答えて師匠は家の方へ走っていった そうだ先生を正気に戻さないとどうにも ならないしかしうまくいったとしてもどう にかなる気が全くしない 先生が式を面と呼んだ強力な面をかぶって なおその力をあうかのように意識を 乗っ取られたのだ昨日の夜実賛の部屋で 同じ12のひ子と呼ばれる多を模した兵も その支配を奪われたではないか魔を知り とけるあらゆるものが全く聞いていないの だ先生が言ったように起こしてはならない ものまで起こしたということがどれほどの 力を秘めているのか像もつかない霧の中を 走り玄関から 上がり込むそれも上がりかに脱いでいた靴 をわざわざ履いてから土足で家の中に 上がった同じように靴を履いた京介さんに 師匠は目くばせを する何をしてくるかわからない突っ込む から何か他に出てきたら援護しろ京介さん は命令口調にむっとしたが木刀を握った まま頷く 俺もその横で何か武器になるものはないか と探した挙げ句何を同点してか靴べらを 握ってその後に続いた師匠が一気に 駆け出す廊下を駆け抜けて客間に 飛び込むいた形の仮面をかぶった先生が さっきと同じ格好で部屋の中ほどに座って いる師匠は怒鳴り声をあげながら 駆け寄るどしんという鈍い音がして師匠が 仮面にずきをするように書きつけた すぐさま仮面をひっぺがすかと思ったが なぜかそのまま動かなくなった先生と同じ ように意識を乗っ取られたのかと疑ったが

師匠はくそと言って仮面を両手で掴んだ まさか外せないのかそう思ったが違う 頭付きをしているように自分の額を仮面の 額に当て強く押し付けて いる何してるん です思わず後ろから叫んだがさらに後ろ からここさんに言われ た変なことは仮面を乗っ取られる前から 始まってる本体を叩かないと終わらない これだけすごい力だと近くにいる可能性が 高いあれだけ退屈そうにしていたのに状況 を俺よりも把握していた改めてここの鋭さ を垣まみた気がしたしかしその言葉の意味 を考えて 驚く繋がろうとしているのかゼクする師匠 はどこからともなく仮面にまで伸びている 何者かの意識の意図を探ろうとしている 自分の霊感を信じてしかし 恐ろしい危険 すぎる代わりに やるここさんがそういう 俺はかぶりを振る京介さんは少し離れて 身構えているが息が 荒いというか遠くにいてこれならもう 終わりどうしようもないここさんがそう 言った瞬間部屋の気温がさらに下がった 真冬などという生優しいものじゃなかった 張り付くようなレキが仮面から吹き出して くる皮膚が痛い石師匠の横顔が白くなって いく仮面は何も喋ら ないどこにいる師匠が何度目かのその言葉 を絞り出した唇の橋が切れて血がしたった 吹雪のような風が吹いた目を開けていられ ない手で顔を防御しその風が止んだ後で目 を開けると師匠が仰向けに倒れようとして いた倒れながら仮面を右手で跳ね飛ばした 先生の体がびくりとする仮面の下の顔は目 を閉じていて意識がないように見えたその まま先生は後ろに 倒れ込む師匠に駆け寄ると仰向けに倒れた 状態で屋根の上だと目を向いたまま言った まるで感電したかのように体が硬直してい たさっきまでのレキが解けるように無惨し ていく京介さんが縁側から外へ駆け出した 俺はうえたがここさんが師匠の上半身を 抱き上げるのを見て京介さんの後を追った 京介さんはまた霧の中を通って家のすぐ横 にあった木の下に走り込むと枝に手をかけ て登ろうとし始めた家は2階建てだが今の ある胸は平屋だったその屋根に登ろうとし ているのだ はしごと俺は叫んで庭の隅に立てかけて あったものを 探す確かに見たはずだあったすぐに掴むと 木の下に戻る手の中からかと京介さんに

奪われた京介さんははごを木の下から屋根 に立てかけ木刀をベルトに挟んで登り始め た慌ててはしごの下を支える上に何がいる んだガガとはしごを掴む手が震える 見上げると京介さんがごを登り切って屋根 の上に足を踏み出した河がガコガコと音を 立てる俺は続けて登ろうか迷ったが逆に その場を離れて屋根の上を見ようとした霧 に包まれているが京介さんの姿は見えた そしてその向こうに立つカカな人影も 誰か いる京介さん俺の声に分かっているという ように後ろ手を振って見せた俺は足元に あったテニスボールほどの大きさの石を 拾い援護のためにいつでも投げられるよう 身構える屋根の橋に立つ京介さんに人影が 近づいてくる霧の向こうにその姿が見えて きた鬼だ赤いふの顔をした鬼だ いやそれは仮面だっ たお前も 面白い恐ろしい声がビリビリと響いてきた 先生の仮面の下から聞こえてきたのと同じ 声だ鬼の周囲の霧がどす黒く変色していく 毒を思わせる禍々しさだったしかし京介 さんは間髪入れず不安定な屋根の上に足を 踏み出し仮面に木刀を打ち下ろしたガツン という音が聞こえ仮面が落ちた黒い霧が 飛び散る鬼の面の下から出てきたのは雪夫 の顔だったやっぱりそうか今に通された 直後に感じていた違和感静かすぎたから外 の音がほとんど聞こえなかったからつまり 雪夫が変えるバイクの音がしなかったのだ マフラーをいじっているのか雪のバイクの 音はうるさかったいつもその音でわかった なのに先生に帰れと言われた後にバイクは 走り出していなかった雪夫はまだ先生の家 にいたのださっき車に乗った時にすぐそば に止めてあったバイクがそのままだったの を見たあれも錯覚などではなかったなぜ 雪夫が少し考えてすぐに答えに たどり着く雪夫だこいつも先生と同じ状態 だ屋根の上から京介さんが 叫ぶそうだ雪をも乗っとられていたのだ 自分の住む集落にあるという12のひの鬼 の面を被ることで先生と同じだしかしここ へ来る時に面は持っていなかったバイクの シート下の収納に隠していたのかなぜ そんなもを持ってきたんだ思考がぐるぐる と回る一体いつから操られていたのか今朝 おじの家に来た時にはすでに相手の手の内 だった可能性が高いみんなで花火をした 昨日の夜雪夫は顔を出さなかったその時か つまり俺たちと一緒に先生の家から帰った 後だそうなると俺は興奮したそうなると こういうことだ先生が仮面に石を乗っ取ら

れる前から霧は出ていて会は始まっていた だから仮面を通して力が発言しているだけ ではなく本体の力がこの周囲に作用して いるはずだとそう考えて師匠は繋がって いる先を探ったしかし先生が仮面を被る前 から雪夫がこうしてここにいたのだとする と話が違ってくる霧が出てきてからの会は 雪を操っていたからできたことではないの かでは仮面を2つとも撃退した以上もう 会いは終わる終わるんじゃないかおい 起きろ京介さんが倒れかけた雪を支えて頬 を叩いて いるどうなった師匠がここさんに支えられ て外に出てくる俺の横に並んで屋根の上を 見上げた 白かった顔色に血色が戻りつつあっ た雪夫です仮面をかぶっていました俺の 説明を聞いて師匠は納得したように 頷く先生は大丈夫だ今は眠っているだけだ じゃあ雪夫も眠っているのだろうか本当に これで終わったのかもしれないとア仕かけ たその時頭身という振動を感じて振り返っ た自信かと思ったが反射的に振り返ったと いうことはその振動には方向性があるの だった俺は先生の家の垣根の向こうに 不思議なものを見た半にだ半にの顔が中に 浮いている隣で身構えている師匠の顔色が 変わる霧の中垣根の上に半の白い面が浮し していたいや目を凝らすと面だけでは なかった体も浮いている昨日の晩実さが身 につけていたような袴姿だったしかしそれ は仮面以外着物も手足も神でできているの だった初子さんや叔父に似た不気味な神 人形とは違うそのことを震える肌で感じる 仮面だけは本物だっったからだわいない 絶望感に力が抜けそうになったあの高さで は京介さんの木刀も届かない俺はとっさに 手に持っていた石を投げつけた全力で投げ たにも関わらず石は力ない放物線を描いて 垣根の手前で落ちたご自然な物体の動きに 見えたが全力で投げつけた俺には信じられ なかったずまた動が響たはにの仮面の背後 からだ嘘だろ師匠が呆然と つぶやくここさんは師匠の後ろに隠れた俺 は棒立ち状態だっ た頭白い霧の中垣根の向こうに何か大きい 影が見える頭らしい輪郭がぼんやりと 見えるがその位置は中に浮かぶ仮面よりも さらに高いそんな影がつ2つ3つ次々と霧 の向こうから影がこちらにやってくる 明らかに人の形をしていない影もある何か 恐ろしい存在なのだということは直感で わかる分かってしまうやらの博という巨大 な石がのりに 浮かぶそにそんなものがこの村には

たくさんあると聞かされた思い出 も頭 ずしずし地面がはっきりと揺れはっとして そっちを振り向いた仮面の浮ぶかの向こう ではない山の中腹にある先生の家の下には 山道が通っていてその家の敷地を迂回する ようにさらに奥へと道は伸びている山道の 向こうは崖になっていて山山の間の谷が あった俺たちの真横道路を隔てた崖の 向こうに突然巨大な影が現れた大きい大き すぎるまるで谷の間にもう1つ山が現れた ようだったそれがこちらに近づいてくる それも2回の胸に迫ってきている死ぬ頭に その言葉が浮かび体が動かなく なるこうなればさてなんと する中に浮かぶ半の仮面がさっきの先生の 時と同じ言葉を同じ怖色で喋っ た丸人の中の丸人よ師匠がガタガタと震え ている俺もここさんもだ京介さんも屋根の 上で立ち尽くしているその手の木刀は力 なく下ろされているもう限界だどうしよう もない夢で会ってくれ今はまだ体のどこも 痛くない 夢であってほしい限界だ死ぬ前は案外 こんな気持ちなのかもしれないああもう 終わり終わり終わり終わりあれもこれも夢 でかん乾いた音がしたはにの面の額に何か 生えているいや弓矢だ矢がつきたったのだ 一体どこから髪の体がさと揺れる半屋の額 に日が入りそこから割れていく割れながら 言葉を発したこれは 一体その声が震えたような欲を帯びている 半屋の周りにキラキラと光る粒子のような ものが見えるそれが螺旋を描くように周囲 を回り半の顔の表面がボロボロと崩れて いっ た巫女神これがみ これほどのものかこれはお前のはにの鋭い 視線が俺のいや俺の隣に向けられるああ くる くるがという空気が押し出されるような声 がして神でできた体の右半分が消失した まるでバクと空間に食われたかのようだっ たなんだこの闇はその言葉を最後にハニは もう喋らなくなった首から上が目に見え ない何かにばりと食われて消えたからだっ た次の瞬間には残りの体も全て食いとら れるように消失した目の前の光景にただ見 ていることしかできなかったカがもっと 恐ろしいカに飲み込まれたそうとしか思え なかった霧の中のうつろな無数の影たちが 揺れながら恐ろしい声をあげ始める苦痛と も嘆きとも思えるぞっとするような声 そんなものが霧の中に共鳴しながら満ちて いく聞いているだけで寿命が縮むような気

がして俺は耳を塞いだやがて霧が晴れて いく光が空から降ってきて霧の中の影たち はそんなもの初めからいなかったかのよう に消えていた太陽の下に全てが戻ってきた 師匠は呆然と立ち尽くしているここさんは 師匠の背中から離れたまるで怯えたよう に忘れていたわけだここさんがそう呟いた のが聞こえたどういう意味なのかただその 瞬間の師匠を見つめるまるで憎むような瞳 が印象に残っ た5年前だあの上げをするためある自主の 墓に出向いたいずれ村の議員選挙に出たい というその孫に頼まれてだが荒人神を招い ても招いても出てこん歌で喜ばせても舞で 喜ばせても墓には霊がおらんかったのだ すでに誰かに取り上げられておったやって はならんことだ生前に異を残したものの墓 から他人が勝手に霊を取りあげるなどそれ からだそんなことが何度もあった巫女神に 祭るにはまだ早い死んだばかりの多雨の墓 までやられたわしは怒った多雨には多雨の 掟てがあるだが誰がやったか分からず じまいだったそやは人の墓だけではなく 触ってはならん魔物や心の祠を起こしさや に眠る奴らをの墓まで起こして回っていた 恐ろしいことだどれほども連れておったか 恐ろしい逆まで先生が つぶやく会が去りようやく落ち着いて先生 と雪を起こせたの だ僕をお取りにしたんですね師匠が冷たく いい 放そうか昨日は取りつく島もなかったのに 今日になってわざわざ呼んだのはそのため か先は何も言わず表情を固くするだけだっ たそのもつれた言はもう死んだがやろうか 幸夫は今日のことを覚えていなかった昨日 の夜俺たちのとに遊びに来ようとして家を 出る時に神でできた人間に抱きつかれたの だそうだそこからの記憶がなかっ たわからぬ先生は重々しく言ったもういね 師匠と俺たちにまたその言葉が向けられた 言われるまでもない京介さんは疲労の限界 を超えて目が充血している喋る気力もない ようだもう昼かすぐに戻って叔父に車まで 送って行ってもらわないといけないそれ からほどなくして先生の家を出たちくと 待て車に乗り込もうとした時先生が険しい 顔で声をかけてきた俺たちが振り向くと 先生は少し躊躇したようだったが怯えと 忌まわしいものを見るような複雑な表情を 浮かべ吐き出すようにしていったおまん どんな生き方をすればそんな神の神が つく師匠の目をじっと見つめてそういうの ださあそんなものいるんですかね師匠は ただそう言って目をし運転席に乗り込んだ

バタンという音共に様々なものを招いた俺 の田舎への旅がその扉を閉じたその帰りの 電車の中で京介さんはずっと外を見ていた 眠気が限界を突破し大量のミントガムを 噛み続けている師匠とココさんは互いに もたれあって寝ていたそれを見ながら俺は あの時確かに見た弓矢と光と闇のことを 考えてい た田舎 終わり

今まで書籍版でしか読めなかった田舎の完全版です。

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「H/MIX GALLERY様」
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『人形遊び』

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25件のコメント

  1. 相変わらず人形遊びのBGMとの組み合わせで嬉しい。もうこの組み合わせでないと受け付けないレベル。

  2. 初めて全部内容を確認出来ました!貴重なお話ありがとうございます!ずっと続きが気になってたので。

  3. 田舎の続きを聞けて嬉しいです

    ありがとうございます

    最期に助けてくれたのはあの人たちなんだろうか?

  4. うおおおお久々の師匠シリーズだ。
    小学生の頃にこのチャンネルに出会ってからずっと聴いてます。
    大学留年の現実から逃避するためにここ最近もずっと流してる…

  5. 改めてまとめて下さりありがとうございます。
    中学2年生のときにこのチャンネルを通して師匠シリーズを知り、書籍も買い、大学卒業前のいまも作業用BGMとして流しております。
    グレードアップを感じ、聴いててとても面白かったです!

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