起訴不起訴の傾向、示談等の影響(窃盗,盗撮,痴漢など),性別、量刑、再犯の傾向などもご紹介 NO.60

こんにちは検察チャンネルです。いつもご 視聴ありがとうございます。今回はスライドに書いたテーマでお送りします。 最初に窃盗のうち,万引きについてお話しします。 副検事が担当する事件で一番多いと思います。おそらく万引きに始まって万引きに終わると思います。 万引きも何回も繰り返して実刑に処せられたりしていると常習累犯窃盗という罪で処断されることもあります。 万引きについては,犯歴,前科の有無,件数などで起訴不起訴が決まる傾向にあります。 しかし,転売目的の万引きに対しては不起訴ということはほとんどなく,厳重処罰がなされます。 次に万引きにおいて示談が処理に関係あるかお話しします。 結論としては,ほとんど関係ありません。 弁護人も何もしないより何かした方がいいという感じでやっていることがほとんどです。 被疑者の傾向としては女性が多く再犯率も高いです。そして万引きの再犯率というのは覚せい剤取締法違反とならんで再犯率が高いです。 しかし,男性と女性で万引きをする動機が少し異なります。 男性の場合は住所不定だったり所持金がないなどの事情がほとんどです。 女性の場合はクレプトマニアと摂食障害を抱えている場合が多いです。 この場合は食べ吐きと言って盗みをすることのスリルと食べたものを吐き出すことに快感を覚えるようです。 クレプトマニアは責任能力がないわけではないので起訴不起訴には影響がありません。 しかし,実刑かどうかになるような瀬戸際の事案が多いと思います。 保護観察が付されていない執行猶予中の犯行で被告人が女性の場合,再度同種の犯行に及ぶと再度の執行猶予といって,懲役1年以下,保護観察のついた判決が付されやすい傾向にあります。 判決後は群馬県の赤城高原ホスピタルという施設で治療を受けることになる人が一定数いらっしゃいます。 次は万引き以外の窃盗についてお話しします。 態様としてはスライドに書いたように侵入 盗,自動車盗,ひったくりなどいろいろあります。 処理の傾向としては,ほとんど公判請求と言って正式裁判にかけられる傾向が高いです。 例外的に不起訴ということもあります。その場合は物的証拠が足りないなどのことがほとんどです。 もし一般的に起訴すべき事案で不起訴ということになれば決裁官と何度も相談しなければなりません。 共犯事件も多く被疑者の供述の信用性を確かめないと危ない事件も多いです。 次は外国人の被疑者の犯罪傾向について話します。特に1番最初に書いた国籍の人は 車上荒しをすることが多かったです。 2番目と3番目の国籍の人は主に万引きをすることが多く,2番目の国籍の人は侵入盗をすることもありました。 特に1番最初の国籍の人は手段を選ばない傾向で力任せに行うことも多かったです。 そして,いずれも共通するのは否認したり嘘をつくことが多いということです。 ですから処理に時間がかかることも多かったです。 外国籍の被疑者が多いかどうかというのは地域性によるところが大きいと思います。 自転車盗については比較的態様が軽いので前科前歴などを考慮して不起訴という場合もあります。 さらに住居不定の被告人で罰金相当の場合は勾留中のまま公判請求をして罰金求刑というのをします。 いわゆる満つるまで算入という判決がなされます。 そもそもお金がないから罪を犯しているわけなので私の経験では捜査段階で示談をするということはほとんどありませんでした。 示談をするにしても裁判になってからということがほとんどです。 被告人が執行猶予判決後もしくは刑務所出所後に毎月弁償しますという誓約をしていることが多かったです。 しかし,約束が守られるということはほとんどなかったように思います。 そのようなことが分かっているのか,被害者も断ることが多かったです。 そのような場合,弁護人は法務局に行って供託することが多いです。 しかし,被害者が受け取らないのであまり 意味がないのではないかと個人的には思っていました。 捜査段階で仮に示談ができたとしても起訴不起訴の結論には大した影響はない場合がほとんどだと思われます。 万引き以外の窃盗については男性の被疑者がほとんどです。 年齢はいろいろいます。職業については定職に従事していないか何度も転職してお金がないという人がほとんどです。 同種の前科前歴を持っている人も多く,再犯率も高いです。 1回だけ裁判で経験しましたが「刑務所を出たらまた盗みをやって生きていきます」と堂々と宣言する人もいました。 そして,取調べ中に検察官に飛びかかろうとする暴力的な被疑者も一定数います。 さらに,窃盗の故意や不法領得の意思を否認するような往生際が悪い人も多いです。 学歴も高卒未満が多く我慢できない者が多いです。 使用窃盗とは他人の自動車を盗んで元の場所に戻しておくつもりだったという場合などが該当します。 こういった供述をされた場合,要注意です。 なぜかと言うと不法領得の意思がないとされて窃盗罪が成立せず起訴しても無罪になる可能性があるからです。

この手の弁解については仮に被告人が再度 否認に転じてもいいように不法領得の意思を裏付ける証拠を収集しておくべきだと思います。 量刑については被害額,同種前科の有無, 直近の軽の重さなどが考慮されます。 常習累犯窃盗については法律で下限が懲役3年以上となっていますから法律上の減刑事由や酌量減軽の事由がない限り懲役3年以上を求刑すべきです。 そして,求刑については内部のデータベースをもとに決める場合も多いです。 裁判中に示談や和解をしても量刑にそれほど大きな影響はないことがほとんどです。 そして裁判官が被告人を執行猶予にしたいのにいい材料がない場合,刑事和解を勧めるということがありました。 次に盗撮・痴漢などの条例違反について 話します。 窃盗の次くらいに副検事が担当することが多い事案だと思います。都道府県によって名称はいろいろ異なると思いますが,こういった犯罪は非常に多いです。 犯罪の態様としては携帯電話が普及するまでは痴漢が多かったのですが現在はスマートフォンが普及していますので盗撮の方が痴漢より多いように見受けられます。 近年はストーカー行為規制法で処罰できないけど条例違反なら該当するというつきまとい行為も送致されることが増えてきました。 盗撮や痴漢についての示談は処理に影響がある場合が多いです。 初犯なら不起訴もあり得ます。私が検察官事務取扱検察事務官を拝命して最初に取り調べた被疑者は私の出身大学の後輩ということが記録上分かりました。 そして,その被疑者は,被害者が被疑者を許していて示談もできたので不起訴ということになりました。 被疑者の傾向としては大卒の男性が多く,きちんと定職に従事していることが多いです。他の犯罪とは違います。 しかし,性癖はやはり変わっている人が多いと思います。 盗撮や痴漢などについてはよくニュースなどで冤罪の可能性があるのではないかというような報道がなされます。 あくまでも私の経験ですが基本的に否認は少なかったです。 否認した事案を覚えているくらい件数が少ないということです。 スライドに書いたような弁解はほとんどさ れたことありません。 否認した人は1人だけ覚えています。この人は酒に酔っていて通行中の女性のスカートをめくったというような事案でした。 結論的には不起訴にしました。ただこういった事案は残念ながら再犯率は高いです。 条例違反のつきまといについてはその認識を否認する人も割と多いと思います。 被害者がこれ以上法廷で証言したくないということで不起訴になることも多いのではないかと思われます。 盗撮や痴漢などについては再犯率が高いのでスライドに書いたように最終的に実刑になる人も多いです。 かつて植草一秀という大学教授の方が実刑になりました。 こういった学歴とか社会的地位などが高い人でも盗撮や痴漢というのはやめられないようです。 冤罪について話します。このような盗撮や痴漢の被害者というのは女性で,この女性の供述が核となることが多いです。 しかし,信用できない供述も多いです。 そして,大々的にニュースで冤罪を報道されたことがあるので検察も冤罪には気を使っています。 勾留請求しても却下されることも多いです。それほど裁判官も冤罪で被疑者を勾留することがあってはならないと気を使っているということです。 検察官も物的証拠がなければ基本的には起訴しないはずです。 私も毎回そういうことには注意して事案を処理していましたが「これはもしかしたら冤罪かも」という事例はほとんどありませんでした。 最近は都心の電車には防犯カメラを設置することも増えました。 警察内部でも客観証拠を検討するように上から通達が出ていますし,実際に防犯カメラなどの客観証拠を検討する習慣が身についています。 ですから,誤認逮捕する機会は相当減ったのではないかと思われます。 そのような風潮の中でも,なぜか被害者・目撃者の供述は大事とされます。 スライドに書いたように私がある支部で担当していた時に同じ女子高生が2件の痴漢の被害者になっていました。 両方とも別々の被疑者で全く別の事件でした。 一件一件記録を検討すると記録上はそれぞれ問題なく,被疑者も両方とも自白していて不審な点もありませんでした。 ですから起訴せざるを得なかったのですがしっくり来ませんでした。 性犯罪で実刑になりますと刑務所で性犯罪者の処遇プログラムを受講することがあります。 このようなプログラムを受講した者は受講しなかった者より再犯率が低くなっていますので一定の効果は現れていると思います。 しかし,再犯に及ぶ者もいますのでやはり検討の余地はあると思います。 性犯罪でも条例違反は刑が軽いです。地方自治法で懲役2年以下と決まっています。 ですから,裁判官も最大で懲役2年までの判決しか出せません。 もう少し法令の整備をして刑の上限を引き上げた方がいいのではないかと個人的には思っています。 その他,性犯罪者の受講プログラム以外に効果的な手段や防止策も検討する必要があるのではないかと個人的には思っています。 今回の動画は以上です。ご視聴ありがとう ございました。 次回とその次の回はスライドに書いたテーマでお送りします。今回の動画が気に入りましたら高評価・チャンネル登録をぜひお願いします。 感想や質問,リクエストなどもお願いします。それでは次回の動画でお会いしましょう。失礼いたします。

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過去にアップロードした「検察官の起訴不起訴の判断基準、示談等は役に立つの?No.12」が再生される回数が相当な勢いで増加しています。
そして、嬉しいことに本チャンネルの登録者の増加にもつながっています。
今回を皮切りに、今後は、前述の動画をベースにして,犯罪別に、起訴不起訴の傾向、示談等の影響、性別、処理,再犯の傾向などを話していこうと思います。
過去に捕まったことのある人、今後、検察事務官や副検事になりたい人も知っておいて損はない情報が詰まっているものと自負しています。
ぜひ、最後までご視聴ください。

※他の視聴者の方々が不快になるようなコメントは、お控えいただきますようお願いいたします。

目次▼
0:00  起訴不起訴、被疑者の傾向、再犯の傾向など
0:07  1 窃盗(万引き)
1:58  2 窃盗(万引き以外)
6:09  3 条例違反(盗撮、痴漢など)

検察官の起訴不起訴の判断基準、示談等は役に立つの?

検察事務官と裁判所事務官、どっちがいいの?

検察事務官が就ける出世ポスト

副検事、検察事務官退職後のキャリア

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1件のコメント

  1. 窃盗罪に罰金刑が付いたのも万引きのためと聞きました。

    現場で「すべての事実を映す鏡があれば」と何度思った事か・・・。
    お世話になった上司曰く、「捜査は割れてしまった破片を集めて物を復元する作業と似ている」とのこと。
    その心は
    「ちらばった破片を集め貼り付けても元通りにならない。だから、散らばってしまった破片をできるだけ集めて、妥当と言えるような形に復元し見極めるしかない。元々板ガラスだったのにコップを作ってしまったということあってはならない。破片を注意深くかつ手早くまとめて妥当と言えるような形につなぎ合わせるのが捜査だ。」
    と若い時言われました。

    現職時代、散らばってしまった事実という破片を、取りこぼしなく妥当な形にまとめらたか、それは今でも・・・。
    事実認定は本当に難しいですね。

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