阪急千里線:山田駅→北千里駅(古江台) 2012年8月22日撮影
千里ニュータウンの集合住宅(団地)は2000年代に入って以降、大規模な再開発が行われ、光景は大きく変化しました。再開発のあり方については今後も議論と検証がされていくと思いますが、それとは別に再開発前の風景は記録として残しておくべきだと考えています。そのため、千里ニュータウンを訪問する際には意識的に写真や動画を撮影してきました。
この動画はこのような考えで撮影し、編集したものです。最近機材のように画質がよいわけでもなく、また、この時点でも既に再開発が始まっていますが、少しでも再開発前の様子をお伝えできればと思います。そして、千里ニュータウンにお住まいの方々が昔を振り返るための資料、子どもたちが千里ニュータウンのことを知るための資料などに役立てばと考えています。
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戦後の団地というとUR(旧公団)の名前があげられることが多いですが、大阪府によって開発された千里ニュータウンでは、府営住宅の団地(B棟)でも様々な工夫がされています。
■府営千里古江台住宅
一般的に、団地では各住戸の日当りを確保するために南側に部屋を配置することが考慮されます。結果として、団地では東西に細長い住棟(東西軸の住棟)が平行に配置されることになります(平行配置)。板状の住棟が整然と並ぶという一般的にイメージされる団地の景観は、「平行配置」によって生み出されたものです。
これに対して、千里ニュータウンの府営住宅では、住棟を中庭を作るように配置することで、いくつかの住棟によってコミュニティのまとまりを作ることが考えられました(囲み型配置、または、コの字型配置)。
千里古江台住宅の南側(動画ではメタセコイア並木より前に映っている部分)は「囲み型配置」がなされています。高低差のある敷地に、中層住棟が「囲み型配置」された千里古江台住宅は、千里ニュータウンの、特に吹田市域の典型的な府営住宅の風景を作り出していました。一方、千里古江台住宅の北側(動画ではメタセコイア並木より前に映っている部分)は「平行配置」となっています。ただし、このエリアには団地の風景に変化をつけるためのポイント型住棟も配置されています。このように、南側と北側とで異なる配置がなされているのが千里古江台住宅の特徴です。
当初、千里ニュータウンの府営住宅の住戸内には風呂場が設置されていませんでしたが(当初は近隣センターの銭湯を利用していた)、その後、住戸には部屋と風呂場が増築されました。動画で見られる出っ張りが、増築部分です。増築は階段室の出入口と反対側(中庭側)に向かってなされており、住棟によって増築の向きが違うことがわかります。また、階段室がある向きも住棟によって異なるため、よく見るとベランダのある側に階段室がある住棟、ベランダのない側(のっぺりした側)に階段室がある住棟というように、住棟の表情も異なります。
「囲み型配置」を採用することで、一部の住棟には西向きの窓ができるため、西向きの窓(動画では反対側のため映っていない)には緑色の日除けが設置されています。緑色の日除けからも「囲み型配置」されていることがわかります。
一見すると団地の住棟は同じように見えますが、ここでご紹介したように府営住宅では様々な工夫がされています。住棟で中庭を作るという物理的な操作でコミュニティが形成されるという考えは安易ではないかという批判もあると思いますが、半世紀前の府営住宅でこのような工夫がされたことは忘れてはならないことです。
千里古江台住宅の北側は再開発が進められており、動画の後半に完成した吹田古江台住宅の住棟が映っています。
□千里ニュータウンの他の動画
□ウェブサイト「ニュータウン・スケッチ」
https://newtown-sketch.com