160km先に何がある?自転車で地図の外へ

フォーティチュード・バレーの喧騒を抜け、橋を渡って公園を抜けたあたりから、風景は一気に“オーストラリアの田舎道”へと姿を変えていった。どこかのんびりとしていて、少し懐かしいような空気が流れている。そんな道を、今日は自転車で北に向かってみることにした。

目指すのは、自転車を借りられる「99バイク」。土曜日の営業は10時から。少し早く着きすぎたため、オープンを待つ時間もまた旅の一部として楽しむ。静かな朝の通りに、期待がじわじわと高まっていく。

やっとレンタルできたのは、初体験となる“グラベルバイク”。太めのタイヤに、頼もしげなディスクブレーキ。これまで乗っていた日本の年季の入ったロードバイクとはまるで別世界だ。乗り心地が驚くほど滑らかで、ペダルを踏むたびに「これが現代の自転車か…」と感動してしまう。

走り出してすぐに橋を渡る。川の上にまっすぐ延びる歩道の上を、風を切って進んでいくのがたまらなく気持ちいい。前方から来た年配のおじさんに「レンタルか?」と声をかけられる。「3日で160ドルだよ」と言うと、「高ぇなー」と笑われた。確かに安くはないけど、車では通れないこの道を体験するには、自転車しかない。

巨大なメルセデスのディーラーの横を抜け、まっすぐ進む。どこかベルリンで見たような風景もよぎる。道はとにかく快適で、グラベルバイクの性能も相まって、まるで空を滑るように走れる。気づけば、自転車専用道に突入していた。ここは「ゲートウェイ・スパイク」と呼ばれるサイクリングルートで、レッドクリフまで続いているらしい。

道の雰囲気は、日本の多摩川サイクリングロードに似ている。川沿いにひたすら続く直線。走っているのは自転車ばかりで、地元の人たちの生活にすっかり溶け込んでいる感じがする。サイクリストたちの装備もなかなか本格的で、しかもこうした道具類が日本よりちょっと安い。これは自転車好きにはたまらない。

やがて巨大な橋が現れ、その向こうには海のような水面。レッドクリフだ。釣りをしている親子の横を抜けて、橋を渡り切ると、そこが今日のサイクリングの終点。駅の名前は「キッパリング」。サブウェイで1800円のてりやきチキンをかじりながら一息つく。物価はちょっと高いけど、旅の終盤のご褒美みたいなものだ。

そのまま少し足を延ばして「カブチャ(Kippa-Ringの北)」まで行ってみる。時間はすでに午後3時。今日はここで泊まろうかと思ったが、ホテルはどこも満室。電話をかけまくるも全滅。

そこで思いついた。「電車で一度ブリスベンに戻ればいいじゃん」。30分に1本のペースで走っている電車に乗れば、今晩は家で寝て、また明日再スタートできる。完璧なプランだ。…と思ったら、ちょうど乗ろうとした電車が目の前でドアを閉めてしまった。ま、あと30分待てば次が来る。こういう気楽さも旅の醍醐味だ。

ちなみに、無人駅だからってタップを忘れると危ない。乗車中に警察がやってきて「チケット拝見します」。Suicaのような「Go Card」をタップしていなければ、罰金を取られる。ちゃんとやっておいてよかった。

一日で160kmのサンシャインコーストを目指すのは少し無理がある。けれど、こうやって日帰りで少しずつ進んでいく旅も悪くない。自転車と電車を使って、のんびりと北へ。道中で出会う景色も人も、そのすべてが旅の一部だ。

「とにかく北に歩く」ならぬ、「とにかく北に漕ぐ」——そんな旅が、またひとつ始まった。

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