門脇篤「ぐるり自転車18区」

門脇篤「ぐるり自転車18区」

東日本大地震のおり、滋賀県に出張中だった私は、途中で自転車を購入し、3日間かけて200キロを走って仙台の自宅にたどりついた。

災害はいつ起こるかわからない。どんな状況に追い込まれ、どんな判断をしなければならないかわからない。
自転車で200キロ走るという、かつて私の身におきたことを、自分でない誰かとともに、数字や言葉ではなく、からだで体験しなおしたい、という思いが募っていた頃、子どもたちの間で「筋トレ」が流行っていること知った。

本企画「ぐるり自転車18区」は、こうして誕生した。
横浜市全18区にある運動施設を自転車でまわり、その間に起こるあれこれを体験しようという企画である。

出発の前日となった8月のある暑い日は、Art Lab Ovaが、アーツ・コミッション・ヨコハマによるACYフォーラムvol.4「続・子どもの居場所・学び場と文化芸術のまちでの交点」で、運営する「横浜パラダイス会館」に集う高校生とプレゼンをする日に当たっていた。
それはこれまで自分たちが何者なのかをこどもたちに語って来なかったというOvaにとって、高校生たちにはじめてそれを「カミングアウト」するという局面であり、とっさに撮影したその貴重な記録と行き来しながら、こどもたちとの夏冬2度のサイクリングの模様を描いたのが本映像である。

パラダイスはどこか遠くではなく今ここにあり、ディズニーランドの次に楽しい体験は時々自分たちでも掘り当てることができるのだ。

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