原子力発電(4)-原子燃料サイクル/MOX燃料/プルサーマル/高速増殖炉
プルトニウムを用いた プルサーマルと高速増殖炉及び 核燃料サイクルについてご説明します これまで 原子力発電所の燃料として 濃縮ウランを紹介してきました 核分裂しやすいウラン235を3から5% に濃縮して残りのほとんどは 核分裂しにくいウラン238です 核分裂反応で発生する中性子を 減速剤で減速させることで 熱中精子となります その熱中精子が 核分裂しやすいウラン235に吸収される ことで連鎖的に 核分裂反応が生じます ここまではこれまでの動画でも説明してき た内容ですがさらに細かく説明を加えると 核分裂しにくいウラン238も中性子が 減速する過程で中性子を吸収して 核分裂反応を起こします また中性子を吸収しても 核分裂反応を起こさずに プルトニウム239に変化するものもあり ます 中性子を吸収したウラン238は不安定で 高エネルギー状態のウラン239になり ベータ崩壊を起こしてネプツニウム239 になりさらにベータ崩壊を起こして プルトニウム239になります ベータ崩壊とはベータ線電子を放出すると ともに中性子が容姿に変化します 原子核中の用紙の数が一つ増えるので 原子番号が1つ上がって 元素記号も変化します ウラン238から プルトニウム239になるまでベータ崩壊 を2回起こしています プルトニウム239は 核分裂しやすく中性子を吸収して 核分裂反応を起こします 濃縮ウラン燃料を3年間使用したとき 熱エネルギーを発生した 燃料の成分割合の一例ですが最も大きいの はウラン235で63%です 次に大きいのは プルトニウム239で30%です 最後にウラン238が7% 程度です 最初は プルトニウムを含んでいない 濃縮ウランでも使用しているうちに プルトニウムが大きく発電に寄与している のです 3年間使用した使用済み燃料の成分割合を
見てみましょう ウラン235は大部分が 核分裂反応に使用され高レベル 放射性廃棄物である 核分裂生成物に変化します 若干量のウラン235が 未使用のまま残っています ウラン238のうち一部がプルトニウムに 変化します プルトニウムも多くは核分裂反応に使用さ れ高レベル 放射性廃棄物となり若干量が 未使用のまま残ります プルトニウムにも変化せずに残ったウラン 238は若干量は 核分裂反応に使用されますがほとんどは 未利用のまま使用済み燃料に残ることに なります その割合の一例は93%がウラン238 約5%は高レベル 放射性廃棄物 ウラン235と プルトニウム239はそれぞれ1% 程度残っています この使用済み燃料の成分を見るとウランも プルトニウムもたくさん残っていることが わかります そこで残った有用な成分はリサイクルして 再利用します 原子力発電所から発生した使用済み燃料は 再処理工場へ送られます 再処理工場では高レベル放射性廃棄物を 分離して残ったウランと プルトニウムが回収されます 回収された高レベル放射性廃棄物は最終 処分に向かいます 回収されたウランやプルトニウムは 燃料加工工場へ送られます 加工工場ではウランやプルトニウムを新た な燃料に成形し直します ウランとプルトニウムを混合した 酸化物燃料をモックス燃料と呼びます モックス燃料は使用済み燃料から回収され たプルトニウムと 天然ウランあるいは 濃縮後に残った劣化ウランを混ぜ合わせて 成形加工して作ります モックス燃料を現在稼働している 軽水路で使用することを プルサーマルと言います 通常の軽水路で使用する場合モックス燃料 は 炉心の3分の1以下として残りは 濃縮ウラン燃料とします モックス燃料は世界的にも
1970年代からフランスやドイツを中心 に多くの実績があり基本的な技術は確立さ れています モックス燃料の利用において関連の深い 原子炉として高速増殖炉があります 高速増殖炉はMOX燃料を使用します 大きな特徴は 減速材がなく冷却材に 液体ナトリウムを使用することです ナトリウムは水や空気に激しく反応する取扱いが難しい金属です 取り扱いの難しい ナトリウムをなぜわざわざ 使用するのでしょうか プルトニウム239はウラン235と違って 熱中 精子ではなく高速中性子の方が反応効率が良くなります このため 減速材はなしとしたいため 冷却剤に水を使用することができません 水は減速剤にもなってしまうためです 減速させないためには大きな原子核を持つ物質とする必要があります よって 冷却剤には 熱伝導率が高く 比較的低温で液体となる金属に限定され睡眠 なまり ビスマスは毒性や腐食性が強くて使用できません 結局 取り扱いが難しいですが ナトリウム以外の選択肢は残されていないというのが実情です 高速増殖炉の最大の特徴は 消費したプルトニウムよりも多くの プルトニウムを生成するというところです 軽水路では 消費したウラン235以上に プルトニウムが生成されることはありませ ん 高速増殖炉によってウラン238を プルトニウムに転換することができれば ウランの利用効率を最大で100倍近くも 高くすることができると言われています 消費した燃料以上のプルトニウムを生成 するので使用済み燃料を再処理することで 燃料を循環させる高速増殖炉燃料サイクル を実現することができます 高速中性子を使うこと 消費燃料以上の燃料を生成することから 高速増殖炉と呼ばれています その構造は 原子炉と冷却剤となる 液体ナトリウムによる一時冷却系と 一時系のナトリウムから 熱交換して 熱を受け取る液体ナトリウムによる二次 冷却系があります
二次冷却系の液体ナトリウムから 蒸気発生器でさらに熱交換して水を蒸気に して タービンを回して発電します ナトリウムを一時系と二次系に分けている のは 蒸気発生器でナトリウム配管が破損して水 と接触しても二次系の液体ナトリウムは 燃料に接触しておらず 放射化していないので事故の影響を最小限 にとどめることができるためです 炉心の外周には 燃料増殖のための 劣化ウラン天然ウランからできた ブランケットを配置してウラン238を プルトニウムに変換させています 高速増殖炉実用化のための原型経路文殊が 日本原子力 研究開発機構により開発され 1991年から性能試験を行っていました 1995年にナトリウムロース火災事故を 起こし長期間の休止をした後2010年 より運転を再開しました しかしその後も 露内中継装置の落下事故保守管理の不備の 判明等により運転休止に入り再開すること なく2016年に 廃炉が決定しました やや残念な終わり方で高速増殖炉の進展は その後見られませんでしたが2018年の 原子力関係閣僚会議において高速路開発の 戦略ロードマップを決めています 文殊で蓄積された技術や人材を生かしこれ を維持発展させ21世紀後半の光速路本格 的利用が目指されています 原子燃料サイクルについてご説明します 天然ウランはウラン鉱山から 採掘されます 採掘されたウラン鉱石は 精錬工場に送られます 清廉とは 鉱石中の不純物を取り除くことです 鉱石から取り出した 酸化ウランの純度を高めたイエローケーキ と呼ぶ 黄色の粉末が 転換工場に送られます 転換とは 粉末の酸化ウランを機体の6フッ化ウラン に変化させることです 転換された6フッ化ウランは 濃縮工場に送られます 転換工場までは国内になく6フッ化ウラン の状態で海外から 輸入されます
濃縮工場から国内工場になります 濃縮とは6フッ化ウラン中の 核分裂しやすいウラン235の含有率を 増やすことです 世界的に実用化されている濃縮技術はガス 核酸法 遠心分離法 レーザー法の3種類ですが日本では 遠心分離法を採用しています 高速回転している円筒の中に6フッ化 ウランを流し込み 質量の大きいウラン238は 遠心力で 円筒の外側の方へ多く集まり中心に近い ところでは 質量の小さいウラン235の割合が高く なります このウラン235が多い部分を取り出して さらに同じ作業を何度も何度も繰り返す ことによって 濃縮ウランを作ります 濃縮された6フッ化ウランは再転換工場に 送られます 再転換とは機体の6フッ化ウランを 粉末の二酸化ウランに変化させることです 再転換された二酸化ウランは 成形加工工場に送られます 粉末状の二酸化ウランを焼き固めて ペレットに成形します ペレットを束ねた燃料棒 燃料棒を束ねた燃料集合体とし発電所で 取り扱いやすい形になるまで加工します 燃料集合体は 原子力発電所に送られて 軽水路の燃料として送荷されます 発電に使われた使用済み燃料は発電所内に 一時貯蔵されます 長期的に見て発電所内の保管容量は不足 することがすでに予見されているので中間 貯蔵施設が必要です 現在青森県むつ市に中間貯蔵施設が建設さ れ使用前の審査を受けています 使用済み燃料は一時貯蔵後に再処理工場に 送られます 再処理とは使用済み燃料から残っている ウランとプルトニウムを分離して取り出す 処理です 再処理の方法はピューレックス法と呼ば れる方法が用いられます ピューレックス法では使用済み燃料の中身 を 称賛に溶かします この 硝酸液と 抽出材を混ぜ合わせることでウランと
プルトニウムを含んだ抽出剤と 核分裂生成物質高レベル放射性廃棄物を 含んだ 硝酸液に分離されます 抽出剤にさらに科学的処理を施すことに よって プルトニウムとウランをそれぞれ分離抽出 することができます これまで日本では再処理工場を国内に持っ ておらずイギリスフランスに再処理を委託 してきました ウランやプルトニウムを含む使用済み燃料 の海上輸送にはテロ行為から守るため国際 的な取り決めによる 厳重な防護措置がなされています 国内で再処理を行うため 現在 青森県の6カ所村に再処理工場を建設し 新規制基準を踏まえた 審査をしている段階です 再処理工場で回収されたウランは転換 工場へ送ることで再度燃料へと リサイクルされます このような一連の流れを原子燃料サイクル と言います 使用済み燃料から回収される燃料には プルトニウムもあります これをモックス燃料加工工場に送って MOX燃料を作ります モックス 燃料加工工場も再処理工場と同じく 国内にはありませんでしたが 現在 青森県の6カ所村に建設し 2024年度の竣工に向けた安全対策と審査を進めています ケース路へモックス 燃料を送って燃料として使用することで プルサーマル燃料サイクルを構築することができます モックス燃料には 精錬工場からの天然ウラン採点 観光場からの 劣化ウランを混ぜて使うことができます 劣化ウランとは 濃縮ウラン製造の過程でできる天然ウラン よりもウラン235の含有率が 低いウランのことです プルサーマルを行うことでウランの利用 効率を1.2倍程度に高めることができ ます ただ プルサーマルとは比較にならないほど グラン利用効率を飛躍的に高めることが できるのは高速増殖炉です モックス燃料を使い終えると使用済み モックス燃料となりますがその中には
プルトニウムが多く含まれているためそこ から再びモックス燃料を作ることができ ます 最終的に目指されているのはMOX燃料を 使った高速増殖炉による 燃料サイクルです 原子力発電所からは 低レベル放射性廃棄物が発生します 放射性物質に接触した排液コンクリート 金属 プラスチック廃材スラッジフィルター保温 材などが相当します 液体は蒸発して濃縮処理 個体は焼却 溶融処理をして ドラム缶に収納し セメントアスファルト等で固形化します 固形化した後青森県 6箇所村にある低レベル放射性廃棄物埋設センターへ輸送され コンクリートピット内に埋設処分されています 再処理工場からは使用済み燃料からウラン プルトニウムを抽出した後の高レベル放射性廃棄物が発生します これらは 高レベル放射性廃棄物管理施設に送られます 原子燃料サイクルの意義は大きく3つあります 1つ目は ウラン燃料の利用効率を高めてエネルギーセキュリティを高めることです 資源に乏しい 日本は そのほとんどを海外からの輸入に頼っており エネルギー自給率は2020年度でわずか11.2%です 一度使うと消耗してしまう 天然ガスや石炭と異なり 一度 輸入すればリサイクルによって 長く使用できるウランは純国産エネルギー とも呼ばれています 青森県六ケ所村に建設している再処理工場 モックス燃料工場が完成するとウランの 濃縮から再処理 燃料加工 廃棄物管理までのサイクルを国内で完結 することができます 将来的には高速増殖炉サイクルが実現すれ ば 原子力は国産エネルギーに分類できるとも 言われています 2つ目は利用目的のないプルトニウムを 持たないことです 軽水路で濃縮ウランを使用すると使用済み 燃料に プルトニウムが残っています 原子力の利用は平和利用に限るとする日本 は利用目的のないプルトニウムは 持たないことを国際的に表明しています
プルトニウムをMOX燃料として利用する 原子燃料サイクルは プルトニウムの保有量削減においても 大きな意義があります モックス燃料の使用実績ですがMOX燃料 を装備することを 認可された軽水路が現在9機あります そのうちの5機でモックス 燃料の燃料集合体をこれまでに約120体 使用した実績があります 2009年に宮殿の限界原子力発電所3号機が初めて MOX燃料を装備して運転を開始しました その後 4年の伊方発電所3号機関連の高浜発電所3号機 4号機 東電の福島第一発電所の3号機に導入されました 世界ではヨーロッパを中心に1960年代から始まり 7千体以上の実績があります また 軽水路ではありませんが 新型転換路の研究炉不具現では約772体と多くの MOX燃料を使用した実績があります 新型転換度は減速材に重水を使用することが特徴であり 燃料に プルトニウムや天然ウランも使用できます 将来の燃料の多角化を目的として高速増殖炉 文殊と並行して国策で進められていました しかし 将来の新型転換路への思考は薄まり 2003年に 普賢は役目を終えて 廃止になっています 新型転換路の代替としてフルモックス大量 型沸騰水型軽水路abwrが進められてい ます 通常の軽水路では 炉心の3分の1以下しかモックス燃料を 想過できませんが 炉心全体をモックス燃料にできる設計と なっています フルボックスabwrとなる青森県の大間 原子力発電所が現在建設中で新規性基準へ の適合性審査を受けているところです 原子燃料サイクルの意義の3つ目は高 レベル放射性廃棄物の発生量を減少させる ことです 使用済み燃料を直接処分する場合は使用 済み燃料全部が高レベル放射性廃棄物と なります これに対し再処理を行うと高レベル放射性 廃棄物の量を約4分の1に減らすことが できます 日本の高レベル放射性廃棄物の処分方針はガラスによって放射性物質を安定な形態に許可した後30~50年冷却貯蔵します その後地下300m より深い地層中に処分する計画です
これまで イギリス フランスに委託してきた使用済み燃料の再処理によって発生した高レベル放射性廃棄物は高さ約1.3m 直径0.4m のステンレス製容器に入ったガラス コカ帯となって日本に変換されています 約2000本が返還されていて 現在は 青森県六ケ所村にある高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで冷却 貯蔵されています 30から50年の冷却貯蔵後に 地層処分することになりますが 国内の最終処分地 は未だに決定されていません 処分値の選定は 国からの申し入れや 候補によって分権 調査概要調査精密調査施設建設のプロセスを経て進みます 各プロセスの段階で同地区の自治体の長の 同意が得られない場合先に進めることは できません 現在は最初のプロセスである文献調査を 北海道の2地区が受けています 国としては 候補地を多くしたいようですが2023年 9月に長崎対馬氏が最終段階で市長によっ て文献調査を受け入れない方針を固めた ことがニュースになりました いかがでしょうか 私たちが現在利用しているエネルギー資源 には入手に限界があります 原子力発電所に利用されているウランにも もちろん限界があります エネルギー資源のほとんどを輸入に頼って いる日本は資源利用について 将来を真剣に考えなければいけません また 放射性廃棄物の最終処理について誰もが 自分の住んでいる地域にしたくないのが 本音だと思います しかしたった今も 原子力発電所が作る電気を 我々は利用しています メリットを享受するだけではなく デメリットを引き受ける覚悟も必要になり ます 原子力の問題はどこか 遠い場所の出来事に感じがちですが自分 ごととして捉えなければいけないと思い ます 以上で今回の動画を終わります ご視聴ありがとうございました
プルトニウムを用いたプルサーマルと高速増殖炉及び原子燃料サイクルについてご説明します。
・プルトニウム
・MOX燃料とプルサーマル
・高速増殖炉(FBR)
・原子燃料サイクル
再生リスト:
関連動画:
「原子力発電(1)-概要/核分裂反応/増倍率」
「原子力発電(2)-原子炉の基本/軽水炉(BWR・PWR)」
「原子力発電(3)-原子炉の自己制御性/5つの防壁/ECCS/INES」
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